ヒーローがログインしました！season3【歌い手】

ヒロイン！１１２ ページ20

部屋について、とりあえず化粧品やストレートアイロン、カバン、財布などを用意した。

うらたさんは部屋の外で待っていてくれたので適当に服を着替えた。

靴はヒールのないものを選んだ。

パンツスタイルだしあまり男ウケは良くないかもしれない。

つか上司と買い物行くのに男ウケ狙わなくていいよね。ある程度ラフすぎなければ。

とりあえず化粧品とか入れた荷物だけ持って部屋の外に出ると、うらたさんがひょいとカバンを持ってくれた。

いや待て紳士か。びっくりしたわ。

う「足、痛くない？骨は一応繋げただけだから無茶しちゃダメだよ。」

そういうとうらたさんはとてもゆっくり歩き出した。

ああこの人、わざと遅く歩いて私が変に急がないようにしてくれてるんだ。

優しいな。本当に。

「ありがとうございます、うらたさん。」

本当にこの人、他人にありがとうってたくさん言わせる力があるよね。

てかこのあと大事なオペあるって言ってたのに、たくさん気遣わせてしまって申し訳ないな。

患者だからってここまで気にかけてくれなくても大丈夫なのに。

う「お前がしたことに比べればこんなのなんてことないと思うんだけど。」

うらたさんは変な奴、と付け足すと私の手を取った。

う「お前は本当に強いよ。守ってくれて、ありがとな。」

きゅ、と握られた手。うらたさんの手。

とっても温かくて、落ち着く手。

「うらたさんの方が、たくさんの命を救ってるじゃないですか。」

うらたさんがいなかったら、多分今頃私は死んでたんだろうな。

私だけじゃない。彼の自動施術や能力に救われた人はたくさんいる。

「うらたさんは、ひとを救うことのできる強い力がありますよね。」

うらたさんの方をまっすぐ見ると、うらたさんはばつが悪そうにそっぽを向いた。

あれ、何か気に触ること言ったかな。

う「人たらし。」

ボソッと悪口言われた気がする。

人たらしってなんだ人たらしって。

うらたさんの耳が真っ赤になってること、本人に言ったら怒られるかな。

いや、怒られなかったとしてもいうのやめよ。

…なんとなく、秘密にしておきたい。

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