___epilogue___ ページ33
「ああ、なんて、可愛らしい。
…見て、私の手を…。」
「ふふ、しっかり握ってますね。」
「ねぇリンタロウ!はやく私にも抱っこさせて!」
「………………もうちょっと待ってくれるかい?」
「赤ちゃん相手に鼻の下伸ばしすぎ!」
「だって可愛いんだから仕方ないじゃないか!
…はぁ〜〜〜〜、絶対嫁に出したくない…………」
「まだ赤ちゃんですから、気が早いですよ。」
「そうは言ってもね……子供の成長なんてあっという間だよ…………」
「はやく変わりなさいよー!!」
「いいよぉ。ああそう、腕はこうやって……」
暖かな日差しが部屋に差し込む。
「…あ、」
薬指にはめた指輪が光ったように見えた。
その瞬間に、赤子は無邪気に笑った。
「私が好きなのかしら!!」
「うんうんそうだよきっとそうだよ!」
「ふふ」
どこからか持参してきたカメラで連写する鴎外。
しかし、エリスは背を向けた。落ち込む鴎外を見て、Aは微笑んだ。
ふと、婚約をした日の夜を思い出した。
『い、いいんですか。
私が、森さんのお傍にいても』
あの日の問に、
『当たり前じゃないか。これからも、ずっと、ずっと私のそばにいて欲しい。』
と、鴎外は答えた。
それからも、迷いがあった。あの日からも。自分がいていいのかと。
もう、Aにその迷いはない。
鴎外のそばにいたい。ずっと、一緒に。その隣に歩くのは、自分だと。
「見てるだけでいいのかい?」
撮影会が落ち着いたのか、鴎外はAの傍にたった。
「はい、見てるだけでも楽しいので。」
エリスは慣れたのか、赤子を抱きながら鼻歌を歌っている。離す気は無さそうだ。
「なら良かったよ。」
鴎外はカメラを片付けた後、少し乱れた髪を整えた。
「鴎外さん」
「ん?」
Aは鴎外の手を取り、握った。
「鴎外さんと結婚して良かったです」
「…!私もだ、A」
鴎外はAの左手薬指に口付けをした。
影が重なった。
それはふたつの影ではない。
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あとり(プロフ) - さらささん» ありがとうございます;;ちょっぴり苦いお話にしちゃってすみません;私の確認不足でした… あああ本当ですか!嬉しいです……!!これからも精進して参ります! (2019年12月15日 19時) (レス) id: e8ffd9f451 (このIDを非表示/違反報告)
さらさ - すてきな話をありがとうございます 森さんも夢主ちゃんもお互いに想いあっているみたいだけど色んな思いが交差してもう一歩踏み出せない感じですね リアル感があってとてもいいです いやあ 作者様の文才がうらやましいです これからも無理のない様に頑張って下さい (2019年12月13日 15時) (レス) id: a0220cc930 (このIDを非表示/違反報告)
あとり(プロフ) - 白しらすさん» ありがとうございます!!とても嬉しいです…! (2019年10月26日 17時) (レス) id: e8ffd9f451 (このIDを非表示/違反報告)
白しらす(プロフ) - ( ゚∀゚):∵グハッ!!かわいい...かわいいぞここの森さん!!!!!好き!!!!!! (2019年10月25日 1時) (レス) id: 71d6bb7d16 (このIDを非表示/違反報告)
あとり(プロフ) - 凛さん» ああああありがとうございます;;上手くかけてるかとても心配だったので嬉しいです;;こちらこそリクエストありがとうございました! (2019年10月18日 21時) (レス) id: e8ffd9f451 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あとり | 作成日時:2019年6月16日 23時