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珈琲はもう、苦くない 1* ページ28

↑続きです

_____

先日、Aは失恋した。

ある雨の日のこと。
以前であれば教授の部屋に赴いていたが、ここ数週間は友人達と別れず遊んだり、帰宅して読書やレポートをしたりと、教授を避けてしまっている。
何度か出会ったものの、教授の顔を見る度に辛く感じてしまい、
『レポート終わらせてなくて』
『今度実習があって、その準備が…』
と何かと言い訳をしてその場を離れようとした。
『真面目な君が課題を終わらせてないなんて珍しい。頑張りなさい。』
教授は驚いた顔をして笑った後、飴をくださった。
苺味の飴。ぎゅっと握る。

(…優しく、しないでよ)


外に出ると、アスファルトと雨の匂いが濃くなる。
嗚呼今日はどうしようか。友人との予定もレポートも終えたため、特にすることは無い。

「帰りかい?」

Aは驚き、きゃ、と声をあげた。

「嗚呼、驚かせてしまったね。すまない。」

申し訳なさそうに見えない顔で、教授が立っていた。

「は、はい。まだレポートが終わってなくて…」

へへ、と愛想笑いをした。教授に嘘をつくなんて、本当はしたくないのに。口からずるずる出てきてしまう。

「レポート、かぁ。」

教授はコツコツと足音を立ててAの方に向かってくる。雨が降っているはずなのに、その音だけが強調されて聞こえる。

「し、失礼します!」

後ろを向き、傘を差そうとした。

「待って」

ふわり、珈琲の匂いがする。
教授の腕が首元にある。
背中にあたる服と体温。
自分は教授に抱きしめられている?
雨と珈琲と、教授の匂いで頭がおかしくなりそうだ。
遠くから生徒の声がすると、腕はするりと外れた。

「A」

思わず振り向いてしまった。その瞬間、手を取られた。
教授は手を握ったまま、どこかへ歩いていく。

(この道…)


そこはいつもの教授の部屋だった

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設定タグ:森鴎外 , 文スト , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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あとり(プロフ) - さらささん» ありがとうございます;;ちょっぴり苦いお話にしちゃってすみません;私の確認不足でした… あああ本当ですか!嬉しいです……!!これからも精進して参ります! (2019年12月15日 19時) (レス) id: e8ffd9f451 (このIDを非表示/違反報告)
さらさ - すてきな話をありがとうございます 森さんも夢主ちゃんもお互いに想いあっているみたいだけど色んな思いが交差してもう一歩踏み出せない感じですね リアル感があってとてもいいです いやあ 作者様の文才がうらやましいです これからも無理のない様に頑張って下さい (2019年12月13日 15時) (レス) id: a0220cc930 (このIDを非表示/違反報告)
あとり(プロフ) - 白しらすさん» ありがとうございます!!とても嬉しいです…! (2019年10月26日 17時) (レス) id: e8ffd9f451 (このIDを非表示/違反報告)
白しらす(プロフ) - ( ゚∀゚):∵グハッ!!かわいい...かわいいぞここの森さん!!!!!好き!!!!!! (2019年10月25日 1時) (レス) id: 71d6bb7d16 (このIDを非表示/違反報告)
あとり(プロフ) - 凛さん» ああああありがとうございます;;上手くかけてるかとても心配だったので嬉しいです;;こちらこそリクエストありがとうございました! (2019年10月18日 21時) (レス) id: e8ffd9f451 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あとり | 作成日時:2019年6月16日 23時

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