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気づいていないと思いたい* ページ22

※現パロ

「はぁ…」

Aは、大学病院のソファで、深いため息をついた。

先程まで、A達研修医の担当をして下さっている森先生の執刀手術に立ち会っていた。血の匂いで気分を悪くしてしまい、ミスを連発してしまった。
目元がじんわり熱くなる。自分は看護師に向いているのだろうか、と不安な気持ちでいっぱいになった。
俯いていると、目の前に気配がした。目線あげると、紙コップに入ったココアを差し出されていた。

「あ、ありがとう…ございます」

顔を上げると、森先生だった。
紙コップを持つと、ちょうどいい温度だった。甘い香りがする。

「隣、いいかな?」

「っはい!どうぞ!」

少し横にずれると、森先生が横に座った。
担当とはいえあまり話したことがない。研修医の女子から人気で、よく囲まれているのを見る。そのため、近づけないでいた。

「このココア、私のお気に入りでね。飲むと落ち着くのだよ。」

そっと飲む森先生を見て、Aも同じように飲んだ。甘すぎなくて美味しい。心がほっとする味だ。

「…そんなに落ち込まなくてもいい。初めは誰だってそうなるからね。」

森先生の方を向くと、優しい笑顔を向けていた。なんて、優しい顔なんだろう。女子から人気のある理由が分かった気がする。

「…ありがとうございます…。」

森先生から顔を背け、残り少ないココアを見た。また、思い出して泣きそうだ。せっかく慰めて貰っているのに、泣いてはいけない。下唇を噛む。
すると、頭に重さを感じた。

「大丈夫。君はまだこれからだ。」

頭をぽんと撫でられ、森先生は去ってしまった。

触れられたところが熱く感じる。
顔も、赤く感じる。
胸も、鼓動が早くなっている。
まさか、これはきっと、違う。
…ココアのせいだ。

Aは森先生の後ろ姿をぼんやり見つめていた。




____



凛さんリクエストありがとうございました!
あんまり甘くならなかった…

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設定タグ:森鴎外 , 文スト , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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あとり(プロフ) - さらささん» ありがとうございます;;ちょっぴり苦いお話にしちゃってすみません;私の確認不足でした… あああ本当ですか!嬉しいです……!!これからも精進して参ります! (2019年12月15日 19時) (レス) id: e8ffd9f451 (このIDを非表示/違反報告)
さらさ - すてきな話をありがとうございます 森さんも夢主ちゃんもお互いに想いあっているみたいだけど色んな思いが交差してもう一歩踏み出せない感じですね リアル感があってとてもいいです いやあ 作者様の文才がうらやましいです これからも無理のない様に頑張って下さい (2019年12月13日 15時) (レス) id: a0220cc930 (このIDを非表示/違反報告)
あとり(プロフ) - 白しらすさん» ありがとうございます!!とても嬉しいです…! (2019年10月26日 17時) (レス) id: e8ffd9f451 (このIDを非表示/違反報告)
白しらす(プロフ) - ( ゚∀゚):∵グハッ!!かわいい...かわいいぞここの森さん!!!!!好き!!!!!! (2019年10月25日 1時) (レス) id: 71d6bb7d16 (このIDを非表示/違反報告)
あとり(プロフ) - 凛さん» ああああありがとうございます;;上手くかけてるかとても心配だったので嬉しいです;;こちらこそリクエストありがとうございました! (2019年10月18日 21時) (レス) id: e8ffd9f451 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あとり | 作成日時:2019年6月16日 23時

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