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夏風邪* ページ14

「なんてこと…」

体温計は38℃と表示している。
Aは通常通り仕事をしていると、寒気を感じ始めた。やがて息は上がり、頭痛もし始め、これは危険だと察知した。
座るのも立っているのも気怠く、寝台に横になった。体が熱いはずなのに感じる寒気、汗、布団を被らなくては、と手を伸ばすが力尽きてしまった。

_______


どれほど時間が経ったのだろうか。
Aは目を覚ますと、枕は氷枕になっており、いつの間にか布団の中に入り、厚手の服を着ていた。まだ体は怠く、寒気もあり、どこかぼーっとしている。布団の上には毛布が被せてあった。
仕事を中断したことを思い出し、起き上がろうとすると、

「そのまま寝ていなさい。今日はもう仕事は構わないから」

飲料を持った鴎外が、寝台の傍に座った。
Aは布団に入る。

「すみません…」

「謝らなくともいい。ここに飲み物置いておくから、後で飲みなさい。」

鴎外の顔は優しかった。しかし、Aにはその笑顔に申し訳なさが募る。

「汗がひどいようだね…。では、私が拭いてあげよう!」

先程よりも満面の笑みで、タオルを持つ鴎外。Aは思わず、え゛と濁った声が出た。

「だ、大丈夫です!自分でやりますから!」

「Aは寝ていなさい。大丈夫、変なことはしないさ。第一、着替えさせたのは私なのだから。」

Aは着ていた服が机の上に置かれているのを見た。シャツとズボンが丁寧に畳まれている。

「…見ましたね?」

「見たよ?」

「サラッと言わないでください!」

「さ、大人しく拭かれてなさい。」

鴎外は上機嫌で、Aを起き上がらせた。
その後、隅々まで拭かれたAはそのまま寝てしまった。

「…苦しい顔は、合わないね。」

鴎外は眠っているAの額に口付けをした。







___
作者より
りんさんリクエストありがとうございました!

花火大会→←記憶が残るタイプ



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設定タグ:森鴎外 , 文スト , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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あとり(プロフ) - さらささん» ありがとうございます;;ちょっぴり苦いお話にしちゃってすみません;私の確認不足でした… あああ本当ですか!嬉しいです……!!これからも精進して参ります! (2019年12月15日 19時) (レス) id: e8ffd9f451 (このIDを非表示/違反報告)
さらさ - すてきな話をありがとうございます 森さんも夢主ちゃんもお互いに想いあっているみたいだけど色んな思いが交差してもう一歩踏み出せない感じですね リアル感があってとてもいいです いやあ 作者様の文才がうらやましいです これからも無理のない様に頑張って下さい (2019年12月13日 15時) (レス) id: a0220cc930 (このIDを非表示/違反報告)
あとり(プロフ) - 白しらすさん» ありがとうございます!!とても嬉しいです…! (2019年10月26日 17時) (レス) id: e8ffd9f451 (このIDを非表示/違反報告)
白しらす(プロフ) - ( ゚∀゚):∵グハッ!!かわいい...かわいいぞここの森さん!!!!!好き!!!!!! (2019年10月25日 1時) (レス) id: 71d6bb7d16 (このIDを非表示/違反報告)
あとり(プロフ) - 凛さん» ああああありがとうございます;;上手くかけてるかとても心配だったので嬉しいです;;こちらこそリクエストありがとうございました! (2019年10月18日 21時) (レス) id: e8ffd9f451 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あとり | 作成日時:2019年6月16日 23時

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