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思い切って、スカートを2度折った。
掃除が終わり、Aは言われた通り保健室に来た。
Aはノックをして、失礼します、と声をかけた。森先生は立っていた。
「来てくれたんだね」
Aは黙って頷いた。森先生は笑っている。
まだ生徒達が校内にいるため、保健室の外は賑やかだ。
「静かになるまで少し待つとしよう。」
そう言ってAの横を通り、入口で帰宅する生徒達にさようなら、と声をかけ始めた。
少しすると、保健室の電気が消えた。薄暗い部屋の中に、カーテン越しから微かに光が差し込んでいる。Aはぼんやりとそれを見ていた。
「ふぅ、これでいい。」
森先生がこちらへ向かってくると同時に、Aは森先生に抱きついた。森先生は突然のことに驚き少しふらついた。が、すぐに抱きしめ返してくれた。森先生は黙ってAの頭を撫でる。
「…せんせ、目、閉じて」
見上げると、森先生は静かに瞼を閉じた。なんて余裕そうな顔なんだろう。こっちは心臓が破裂しそうなくらいドキドキしてるのに。
森先生の唇目指してぐっと背伸びをした。…あれ、届かない。何度も、何度も背伸びをする届かない。そうしていると、森先生は吹き出した。
「もう!なんで笑うんですか!」
「いやぁ、懸命に背伸びをしているのに届かないのが可愛くてね。」
まさか口付けが出来ないほど身長差があるとは思っていたなかった。恥ずかしさで火を噴きそうだ。俯き、手で顔を塞いだ。ら
「Aちゃん。手、どけてくれないかい?」
頭上から森先生の声がする。
「嫌です」
「え〜いいだろう?ね?可愛いお顔見せてくれないかい?」
「いーやーでーす!」
Aを抱きしめたまま森先生は顔を色んな角度から覗こうとしてくる。それを必死で阻止している。
1分程沈黙が続いた後、耳元で森先生が囁いた。
「手、どけて」
_狡い。
そっと、覆っていた手をどけた。薄暗い部屋でもわかるように赤く染まっていた。
「いい子だ」
森先生はAの顎をクイッと持ち上げ、そのまま唇を重ねた。髭が時々擦れて擽ったい。
学校でする口付けは背徳的で、気分が昂った。
ふと、Aは弁当のおかずを聞いていないことを思い出した。卵焼きがどうとか言っていたことも思い出した。
また、後で聞けばいい、と結論を出し、身体を森先生に預けた。
___誰にも見られませんように。
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あとり(プロフ) - さらささん» ありがとうございます;;ちょっぴり苦いお話にしちゃってすみません;私の確認不足でした… あああ本当ですか!嬉しいです……!!これからも精進して参ります! (2019年12月15日 19時) (レス) id: e8ffd9f451 (このIDを非表示/違反報告)
さらさ - すてきな話をありがとうございます 森さんも夢主ちゃんもお互いに想いあっているみたいだけど色んな思いが交差してもう一歩踏み出せない感じですね リアル感があってとてもいいです いやあ 作者様の文才がうらやましいです これからも無理のない様に頑張って下さい (2019年12月13日 15時) (レス) id: a0220cc930 (このIDを非表示/違反報告)
あとり(プロフ) - 白しらすさん» ありがとうございます!!とても嬉しいです…! (2019年10月26日 17時) (レス) id: e8ffd9f451 (このIDを非表示/違反報告)
白しらす(プロフ) - ( ゚∀゚):∵グハッ!!かわいい...かわいいぞここの森さん!!!!!好き!!!!!! (2019年10月25日 1時) (レス) id: 71d6bb7d16 (このIDを非表示/違反報告)
あとり(プロフ) - 凛さん» ああああありがとうございます;;上手くかけてるかとても心配だったので嬉しいです;;こちらこそリクエストありがとうございました! (2019年10月18日 21時) (レス) id: e8ffd9f451 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あとり | 作成日時:2019年6月16日 23時