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『多分稽古場に……あ、いた』
静かに開いた扉から中を覗き込めば求めていた人がいた
ブォンッと音を鳴らして空気を割く
拳を突きだし、足を回す
受け身を取り反撃の動きに入る
稽古場には彼が鍛練をする音と、時折漏れる声だけが響いている
(集中しているところ悪いな……)
改めて出直そう、返事はその時に。
そう思い立ち去ろうとしたとき
？「A……？どうしたん？」
声がかかった
ドキッと心臓が鳴る
なんで気づいたんだろう
こっちは見ていなかったはずなのに
『あ、えっと……さ、坂田に話が……』
上半身を裸にしてタオルを片手に近寄ってきた坂田
目のやり場に困りますお兄さん
俺の話、というのを察したのか坂田はぽっと顔を赤くして「入れば？」と俺を中に入れた
備え付けのテーブルにおいた自分の服を着た坂田は俺を座らせて向かいの椅子に座る
坂田「え、と……話って……この前の？」
『う……うん』
坂田が赤くなっているのに吊られて俺まで恥ずかしくなってくる
くそあちぃ
坂田「……答えが出るの、もう少しかかるかと思っとった」
『俺も。でも一人一人を当てはめていったらやっと分かったんだよ』
ふうっと深呼吸して真っ直ぐ、坂田を見つめた
『坂田、俺は……お前を選びたい』
坂田「え……」
ポカンとした顔を向けられた
え、なんでそんな顔すんのさ
坂田「俺を、選んでくれるん……？」
『うん。俺は坂田が好きだよ。お前の隣にいたいんだ』
坂田に向かって微笑むと坂田は泣きそうな顔をしてバッと立ち上がった
そして俺の脇の下に手を通してグイッと上へ
『うわっ！？』
坂田「やった……っ！Aが俺を選んでくれた！！ほんま嬉しい！！」
俺を、上にあげてクルクルと回る坂田
本当に嬉しそうに笑っている
重くないかなって心配だったけど坂田なら大丈夫だろ、と空中を楽しんだ
俺を下ろしてぎゅっと抱き締めた坂田の首に腕を回した
坂田「A大好き。俺と、付き合ってくれませんか？」
『んふ、もちろんっ！』
きついぐらいに抱き締めあって
坂田は俺の顔中に唇を落とした
真っ赤に燃える瞳に写る俺
ああはやく、その熱で"私"のすべてを溶かして。
そんな意味を込めて唇に自分のそれを寄せた
坂田「……誘ってる？」
『バカ！！あほ！！犬！！』
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山犬(プロフ) - 哀原。さん» ありがとうございます！長いので一気は大変だったでしょう…。こちらこそ読んでいただきありがとうございました！ (2021年8月22日 21時) (
レス) id: ae4ffc859d (このIDを非表示/違反報告)
山犬(プロフ) - りょくちゃさん» ありがとうございます！一つ一つこだわって書き書きしたので、そう言っていただけて嬉しいです！こちらこそ長いお話を読んでいただいてありがとうございました！ (2021年8月22日 21時) (レス) id: ae4ffc859d (このIDを非表示/違反報告)
哀原。 - 友達に推されて一気に読みました。とても面白かったです。素敵な作品をありがとうございました。 (2021年6月2日 19時) (レス) id: 720f857f3f (このIDを非表示/違反報告)
りょくちゃ(プロフ) - 完結おめでとうございます...！そして長い間おつかれさまでした！わたしは、最近知って読ませて頂いてたのですが、それぞれのお話にすごく切なくて感動しました。素敵な作品をありがとうございます！ (2021年4月17日 17時) (レス) id: f217387575 (このIDを非表示/違反報告)
山犬(プロフ) - ルナさん» ありがとうございます！長々と続いていましたが終わってしまいました(´∀｀)一つ一つ凝って書いたのでそう言っていただだけてとても嬉しいです！ご愛読ありがとうございました。 (2021年4月13日 19時) (レス) id: ae4ffc859d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山犬 | 作成日時：2020年4月3日 17時
