6.ラプラスの悪魔 ページ8
花桐SIDE
昨日は椿と久しぶりに手合わせして疲れた、ちょっとしたアドバイスだけであんなに強くなれるなんて流石副首領。私の眼に狂いはなかった。あれは…もっと強くなれる。
さっちゃんの東卍侵入成功も紫苑から聞けたし、昨日今日といい日だわ。
今私は外でお散歩中。特に喧嘩する予定はないけど、目の前にいる不良共に囲まれてはいる。
不「ア゛ァ゛!?テメェ何処見てんだよ!!」
髪の毛掴まないでほしいんだけど…。
「貴方は私が誰かわからないみたいね…」
不「テメェみてぇな雑魚知ってるわけねぇだろ!」
「名前言ってもわからないかな。私は羅賦良簾の首領、花桐Aよ」
名前を出しても表情に変化はない、ホントに知らないのか…。目黒区にいる不良なら羅賦良簾のことぐらい知ってそうではあるけど。
不「はっ!こんな弱っちい顔して羅賦良簾の首領?ふざけんじゃねぇぞ!」
胸ぐらをつかまれて頬を殴られそうになった。でも簡単に殴られるはずがない。私は相手の腕を捻って抜け出した。
「わからないなら教えてあげよっか」
怯んでいる隙に踵を頭に落として、私は相手に鎖骨辺りの刺青を見せてあげた。ホントは羅賦良簾を表す刺青が良かったんだけど、思いつかなかったからタンチョウの刺青にした。鎖骨に入れるのは痛かった。
不「ヒッ…、テメェ…。本物の羅賦良簾の悪魔…!」
「だからそうやってさっきから言ってるわ」
ラプラスの悪魔というのは生き物でも何でもない、ただの概念。ピエール=シモン・ラプラスという数学者によって提唱された。
「ある時点において作用しているすべての力学的・物理的な状態を完全に把握・解析する能力を持つがゆえに、未来を含む宇宙の全運動までも確定的に知りえる」という超人間的知性のこと、そう言われても私たちはその知性を持った人間じゃないから理解はできないんだけどね。
「私が誰かわかっても…テメェって呼ぶのね」
不「もう許してやってくれ…!貴方が誰かわからなかったんだ!」
今私が言ったこと聞こえなかったの?わかっても、そう呼ぶことに怒ったんだけど。
「…これ以上傷つけられたくなかったら、早く私の眼の前から消え去って。…いい?」
不「すんませんでしたー!!」
急いで私から逃げていく二人に笑いそうになっちゃった。
華「あれー、Aちゃーん」
「紫苑」
華「さっき不良二人が結構なスピードで走ってたけど」
「私が追い払っただけよ」
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作者名:suffron* | 作成日時:2022年9月19日 20時