5.首領の性格 ページ7
楠城SIDE
これでもかというぐらい攻撃を仕掛けているのに…、一切Aちゃんにはダメージがない。疲れているのは俺の方だ…。
「もう…終わり?」
椿「あは…、まだだよ。やっぱり寝てばっかりいたら体力は落ちちゃうね」
「まぁまぁ、寝るのが好きなのは昔からだし。抗争に支障が出ていないなら大丈夫なんじゃない」
そうやって甘やかすから…。Aちゃんは俺たちにはすごい甘いんだよ、自分には厳しいのに。ホントに傍から見たら不良なんですか?って聞かれるぐらい。
椿「……!」
「よそ見?考え事?どちらにせよ、それは感心しないわ」
椿「うっ…」
初めて蹴りを入れられた、よくよく考えてみるとさっきまでずっとAちゃんは俺の蹴りと殴りを受け止めるだけで避けることも攻撃を仕掛けることもしてこなかった。そのおかげで体力をそこまで消費しなかったのかな。
「んー、本気出してないね。威力がお粗末」
椿「ッ…」
…わかってる。蹴りが上手く入っていない、何処に力を込めればいいのかわからなくて迷走してしまっている。
「力を上手く入れられないなら、かかととか膝を使って硬い所で戦ってみたらどう?」
硬い部分か…。
「…!そうそう!上手!」
感覚を戻せた…!
椿「…!!」
「っ!?」
俺の攻撃を受け止めきれなくてちょっと遠くまで飛んでいった。
わかった…、膝から入れてその後に指先を入れればいいんだ…。今まで感覚的にやっていたけど、少し意識をしたらこんなに変わるなんて…。Aちゃんは体の使い方が上手なんだな。
「今のはびっくりしちゃった」
椿「やりすぎたかな…」
「大丈夫、東卍とやるときはこんなんじゃ駄目だからもっと力入れて」
椿「…わかった…!」
その後も何時間かずっと俺はAちゃんと手合わせしていた。流石に疲れた…。
「お疲れ様、椿。今日だけで随分強くなったんじゃない?」
椿「Aちゃんのおかげだよ。俺自身もこんなに強くなれるなんて思ってなかった。ありがと」
「ふふっ、そう言ってもらえて嬉しい」
!…可愛い。
…これがほんとに不良?
優しくて俺たちに甘くて笑顔が可愛くて…、不良要素が一切ないんだけど。あ、でも喧嘩は強いから…。
椿「…ふわぁ…」
「眠くなった?いいよ、ここで寝て」
自分の膝の上を指してる…、寝ていいものなのか?これは…。
「遠慮しないで、ほらほら」
椿「お言葉に甘えて…」
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作者名:suffron* | 作成日時:2022年9月19日 20時