36.一人っ子 ページ38
花桐SIDE
5人…?…あら、あの子たち…。そんな嫉妬したような目で見なくても私は貴方達の方が大切なのに。マイキーは私の弟みたいなものだから抱きしめると言うより抱擁という言い方の方があっている気がするわ。
葵「私たちのAちゃん取らないでよ」
桔梗が私をマイキーからベリッと剥がした。
「桔梗。私はただマイキーを慰めていただけよ、別に恋愛感情も何も持っていないから。…だからそんなに敵対するのはやめてちょうだい」
牙をむくとはまさにこのことだろう…。猫が爪を出して威嚇しているようにも見える。
「…はぁ…。マイキー、もう大丈夫?」
マ「俺は大丈夫だよ」
「そう。…じゃあ、みんな帰るよ。芭流覇羅との抗争に向けて私たちも特訓しないと」
武道はまだ起きていないけどマイキーがいるなら大丈夫そうね。…にしても、武道はどうして初対面のあの子を殴ったのかしら。それが一番不思議なことではあるけど、多少の推測は出来ているわ。
…武道の未来に何か関係している。
武道は初対面の人を何の理由も無しに殴ることは絶対にしない。あの子は優しい子だから。だから、そんな子が殴ったということは稀咲君は武道の未来に悪影響を及ぼしている人物。…決定的な根拠がないし、タイプリープしていることだって誰にも話していないからこのことは内に秘めておこう。
葵「…Aちゃん」
「なぁに?」
葵「私…あの人苦手」
「…マイキーのこと?」
私が聞くと、桔梗は黙って頷いた。確かにマイキーみたいなタイプの人間、桔梗は少し苦手かもしれないわね。遠慮ってものがあまりないから。人の言うこと聞かないし。
「私もマイキーのような人には初めて会ったわ。私は特に苦手意識は持っていないけど、…あぁ、伍番隊隊長は苦手ね。無表情で大きいから何を考えているか全然わからないわ」
葵「私はあれぐらい静かな方が良い」
まぁ…人それぞれ苦手な性格っていうものがあるから仕方ないわね。
「椿…、…って…もう寝ちゃったの」
華「もう遅いしね」
「すいちゃん、椿の家寄っていってくれる?」
枳「ん、わかった。頂戴、紫苑」
紫苑は椿を起さないようにそっと背中から降ろしすいちゃんに渡した。椿はいつも眠り深いから多少荒くても大丈夫なんだけどね。もう高校生だと言うのに寝顔はまだあどけなくて可愛らしい。
「紫苑、帰ろっか。じゃあね、みんな。明日午前10時に私の家に集まって。作戦立てるよ」
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作者名:suffron* | 作成日時:2022年9月19日 20時