12.勝てたはずだった ページ14
華相SIDE
華「よっ、久しぶりだなァ。武藤」
ム「…華相」
覚えててくれて何より。俺も…お前のことを忘れた時なんて一切なかったよ。年少ではお前は最強クラスだったからなァ…、俺もひっそりお前に憧れてたんだ。
華「そっちは副隊長か?キレーな顔してんな。名前は?」
春「三途春千代です」
華「そうか、キレーな顔にピッタリな名前だ。でも…お前は後でな。俺は先にお前をやりたい」
俺は武藤の腹をめがけて飛び蹴りを食らわせ、両足を首に巻き付けて頭から地面に叩きつけた。
華「俺のレスリング技、どう?」
ム「相変わらずの戦闘狂だな、華相」
華「ははっ、俺にとっちゃその言葉は誉め言葉だ」
体幹の強さを生かした締め技と投げ技…、我流だけどこれだけで俺は喧嘩に勝ってきた。
華「次で落としてやるよ」
ム「……」
その何考えてるかわかんない面、大っ嫌いなんだよなァ。
華「(毒蛇締め)」
そういや、六本木のカリスマも関節技とか締め技得意だったな。今度手合わせしてみてぇ。
ム「ガ…ッ…」
春「隊長!!」
華「お前は綺麗だから綺麗なまま落とす」
春「この…っ」
俺は首に手刀を入れて一瞬で気絶させた。呆気なかったな、どいつもこいつも。下の奴らも既にみんな落とされてるし、この抗争…マジで俺ら勝てるんじゃね?
枳「紫苑…!」
華「睡蓮?どうかした?」
枳「Aと桔梗が…刺された…」
華「は…」
桔梗ちゃんが刺されたのはさっきのAちゃんの叫びで気づいていたけど…、Aちゃんまで刺された?
華「…そいつら何処」
枳「こっち…!」
俺が睡蓮に連れられて着いた先には血を大量に流して倒れてるAちゃんと、そのそばで立ち尽くしている佐野がいた。
華「……Aちゃん」
マ「…俺のせいだ。…俺がコイツらを止められなかった」
佐野が傷つく理由なんて一つもないはずだ…。傷つくどころか喜んでもいい。だって、抗争に勝ったんだから。
華「椿!!」
椿「はい!!」
華「抗争は終わりだ!救急車を急いで呼べ!!」
椿「…!はい!」
睡蓮がAちゃんの応急処置を急いでしているけど、あまりにも出血がひどい。それに桔梗ちゃんは何処にいる?
葵「…ッ…、、A…ちゃん…っ!」
華「桔梗ちゃん…!」
葵「私たち…勝てたよね…?あいつらが…ナイフなんて使わなければ…勝てたんだよね?」
…ナイフ。
…嫌な記憶だな。
葵「死んじゃダメだよ…、ねぇ…」
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作者名:suffron* | 作成日時:2022年9月19日 20時