何故か世界一の名探偵に溺愛されてるんですが

首を縦に振るのに ページ38

あれから数日が経った

私と乱歩さんはと言うと……

普通だった

乱｢A、この資料まとめといて｣

『はい、本日中にはまとめときます』

乱｢うん、よろしく｣

そう、普通なのだ

あの時は騒いでしまったが私と乱歩さんももう大人…お互い嫌悪する訳でもなく普通に戻ったのだ

今までが特別だっただけ

それがただ普通の対応に戻っただけ

仲が悪くなったわけでもない

私はトントンと資料を揃え取り掛かる

探偵社はいつもと騒がしい雰囲気はなくシーンと静まり返っている

コソコソとしてる声と私と乱歩さんに向けられた視線だけがわかる

敦｢え！？ちょ、太宰さん！？｣

敦くんが何か大声をあげたかと思えば太宰さんは砂色の外套を揺らして私に近づいてきた

太｢やぁ、仕事は順調？｣

『少なくとも太宰さんよりは順調ですね』

太｢八つ当たりは良くないなぁ｣

『……』

ニコニコと笑う太宰さん

嫌いになりそう

『そんなんじゃないです』

太｢早く仲直りしちゃえば？敦くんなんて気まずさに慌てふためいてるよ｣

『そもそも喧嘩なんてしてないです』

『今までが異常だっただけですから』

そう言って私は手を動かしていく

太｢Aちゃん｣

『…なんですか』

太宰さんはさっきのふざけた声とは違い真剣な声で私に問いかける

真っ直ぐ見つめられるので私も手を止め見つめ返す

太｢普通が異常になるのもおかしいが異常が普通になるのもおかしいんだよ｣

『……』

私にしか聞こえない大きさでつぶやく

乱｢太宰、駄菓子持ってきて｣

ぬっと現れた人物に私はビクッと肩を揺らす

太｢わかりました、今お持ちしますね｣

太宰さんは席を立ち上がり背を向けたまま乱歩さんに話しかけた

太｢乱歩さん、飼い猫を三日他の家に預けると他の家の飼い主に懐いてしまうらしいですよ｣

乱｢あっそ｣

乱歩さんはつまらなさそうに返事をして席に戻った

異常が普通になるのもおかしい…か…

そんなこと分かってる…

やだ…いやだ…いつものように乱歩さんと話したい

貴方が私を求めてくれる…その関係がちょうど良かった

乱歩さん…貴方は知らないでしょけど私はずっと真剣な貴方の眼差しに…わがままで…でも自信満々な所が、コロコロ変わる表情に真っ直ぐな姿勢に…貴方の不器用で暖かい優しさにずっと惹かれていたんですよ

だから乱歩さん…嫌いなんて言わないでください…

また好きって、大好きって言ってくださいよ、そしたら私は…今なら

ごめん、僕が間違ってたから、だからどうか…→←心配なんですよ

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