検索窓
今日:2 hit、昨日:44 hit、合計:288,196 hit

92 ページ42

【A】




学校が終わり、私は近くの公園に行った。
珍しく今日は私が先に着いたみたいで、公園にはまだ誰もいなかった。


私はベンチに座り辺りの樹木を見渡した。
風が吹くと草木が揺れ、遠くでは小鳥たちの声も聞こえる。


こうやって一人になると普段は気にもしないことに気づかされた。
私は静かに目を閉じて自然の音を聞く。


夕方の公園の空気はとても哀愁漂った。
そういえば、私と神威くんの出会いもこんな感じだった。


総ちゃんに失恋して、でもその想いはどこにもぶつけられなくて、一人で公園で泣いたんだ。
そしてその時デリカシーのかけらもなく私に話しかけてきた神威くん。


あの時ははっきり言って神威くんに良い印象は無かった。
バカ校のロン毛ヤンキー。
そんなレッテルを貼って神威くんに距離を置いていた。


でも気づけば、神威くんと過ごす時間がとても楽しくなっていった。
ヤンキーだという偏見もなくなり、神威くんの前では本当の自分を見せられるようになった。




A「…………はぁ」




私はため息をついた。
別に落ち込んでいるわけじゃない。
ただ、最近は色々なことがありすぎて少し気が張り詰めていた気がする。


それでも私は現状に満足していた。
総ちゃんに失恋出来たことも、総ちゃんと神楽ちゃんに私の気持ちを理解してもらえたことも、神威くんの傍にいられることも。


でも、その時ふと思った。
神威くんはどうしてこんな私と仲良くしてくれるのかな。
私は神威くんのために何かしてあげたことがない。


こうして遊んでいられるのも今のうちだけ?
その可能性も無きにしも非ずだ。
それにいつしか神威くんに彼女が出来たら、もうこうやって一緒にいられない。
神威くんの傍にいられない。





A「……あれ………?」




膝に涙がこぼれ落ちた。
なぜ自分が泣いているのか混乱してしまう。
あぁ…そっか…
本当に本当に、私は神威くんが好きなんだ。




A「………神威くん」




嫌だ…嫌だ。
神威くんともっともっとずっと一緒にいたい。
誰になんと言われようと、私は神威くんから離れたくない。




神威「A?」




目の前に人が立っていた。
私はゆっくり俯いていた顔を上げる。
そこには不思議そうに私の顔を覗き込む神威くんがいた。




A「………神威、くん」




神威「どうしたの?嫌なことでもあった?」




神威くんは手を伸ばして私の頬に伝う涙を拭った。
そして、優しく微笑んでくれた。

93→←91



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (375 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
606人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 3Z , 神威
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

瑠々亜(プロフ) - literarymastertさん» コメントありがとうございます。更新頻度が遅れてしまって申し訳ないです(><)素敵なカップルを書けるよう頑張ります! (2018年10月1日 23時) (レス) id: 95173b8ff8 (このIDを非表示/違反報告)
literarymastert(プロフ) - こういうカップル好きです!笑ニヤニヤしながら見てます!!更新頑張ってください!笑 (2018年10月1日 23時) (レス) id: 2fed73faab (このIDを非表示/違反報告)
瑠々亜(プロフ) - 蛍さん» コメントありがとうございます。ここ数日忙しくて更新めっちゃ遅れてますが、皆さんの温かいコメントを頼りに更新頑張ります! (2018年9月29日 14時) (レス) id: 95173b8ff8 (このIDを非表示/違反報告)
- 神威くんと夢主ちゃんが可愛いすぎて辛いです!!更新大変だと思いますが頑張ってください!これからも応援してます^^ (2018年9月26日 20時) (レス) id: e7281059f9 (このIDを非表示/違反報告)
瑠々亜(プロフ) - ティアーさん» コメントありがとうございます。もう高評価して頂けただけでも大満足です(T_T)ご期待に添えるような作品になるよう更新頑張ります! (2018年9月25日 13時) (レス) id: 95173b8ff8 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:瑠々亜 | 作成日時:2018年9月12日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。