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【A】
学校が終わり、私は近くの公園に行った。
珍しく今日は私が先に着いたみたいで、公園にはまだ誰もいなかった。
私はベンチに座り辺りの樹木を見渡した。
風が吹くと草木が揺れ、遠くでは小鳥たちの声も聞こえる。
こうやって一人になると普段は気にもしないことに気づかされた。
私は静かに目を閉じて自然の音を聞く。
夕方の公園の空気はとても哀愁漂った。
そういえば、私と神威くんの出会いもこんな感じだった。
総ちゃんに失恋して、でもその想いはどこにもぶつけられなくて、一人で公園で泣いたんだ。
そしてその時デリカシーのかけらもなく私に話しかけてきた神威くん。
あの時ははっきり言って神威くんに良い印象は無かった。
バカ校のロン毛ヤンキー。
そんなレッテルを貼って神威くんに距離を置いていた。
でも気づけば、神威くんと過ごす時間がとても楽しくなっていった。
ヤンキーだという偏見もなくなり、神威くんの前では本当の自分を見せられるようになった。
A「…………はぁ」
私はため息をついた。
別に落ち込んでいるわけじゃない。
ただ、最近は色々なことがありすぎて少し気が張り詰めていた気がする。
それでも私は現状に満足していた。
総ちゃんに失恋出来たことも、総ちゃんと神楽ちゃんに私の気持ちを理解してもらえたことも、神威くんの傍にいられることも。
でも、その時ふと思った。
神威くんはどうしてこんな私と仲良くしてくれるのかな。
私は神威くんのために何かしてあげたことがない。
こうして遊んでいられるのも今のうちだけ?
その可能性も無きにしも非ずだ。
それにいつしか神威くんに彼女が出来たら、もうこうやって一緒にいられない。
神威くんの傍にいられない。
A「……あれ………?」
膝に涙がこぼれ落ちた。
なぜ自分が泣いているのか混乱してしまう。
あぁ…そっか…
本当に本当に、私は神威くんが好きなんだ。
A「………神威くん」
嫌だ…嫌だ。
神威くんともっともっとずっと一緒にいたい。
誰になんと言われようと、私は神威くんから離れたくない。
神威「A?」
目の前に人が立っていた。
私はゆっくり俯いていた顔を上げる。
そこには不思議そうに私の顔を覗き込む神威くんがいた。
A「………神威、くん」
神威「どうしたの?嫌なことでもあった?」
神威くんは手を伸ばして私の頬に伝う涙を拭った。
そして、優しく微笑んでくれた。
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瑠々亜(プロフ) - literarymastertさん» コメントありがとうございます。更新頻度が遅れてしまって申し訳ないです(><)素敵なカップルを書けるよう頑張ります! (2018年10月1日 23時) (レス) id: 95173b8ff8 (このIDを非表示/違反報告)
literarymastert(プロフ) - こういうカップル好きです!笑ニヤニヤしながら見てます!!更新頑張ってください!笑 (2018年10月1日 23時) (レス) id: 2fed73faab (このIDを非表示/違反報告)
瑠々亜(プロフ) - 蛍さん» コメントありがとうございます。ここ数日忙しくて更新めっちゃ遅れてますが、皆さんの温かいコメントを頼りに更新頑張ります! (2018年9月29日 14時) (レス) id: 95173b8ff8 (このIDを非表示/違反報告)
蛍 - 神威くんと夢主ちゃんが可愛いすぎて辛いです!!更新大変だと思いますが頑張ってください!これからも応援してます^^ (2018年9月26日 20時) (レス) id: e7281059f9 (このIDを非表示/違反報告)
瑠々亜(プロフ) - ティアーさん» コメントありがとうございます。もう高評価して頂けただけでも大満足です(T_T)ご期待に添えるような作品になるよう更新頑張ります! (2018年9月25日 13時) (レス) id: 95173b8ff8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠々亜 | 作成日時:2018年9月12日 20時