六輪 ページ8
『…?あれ…?』
気がつくとカーテンの間から光がもれていて、一日が終わり、また始まったのだと思わせた。
昨日あったことが夢かと思わせるようなそんな気分。否、若しかすると夢だったのかもしれない。
そんな風に心の中で昨日のことを現実から外そうとしているときだった、この部屋が【自分の部屋】では無いことに気づいたのは。
『…?』
《此処は何処?》
最初の疑問だ。
間取りは完璧に家と一緒なのに、何処か違う。
匂い、雰囲気、配置、完璧に何処かが違う。
あぁそうか。
隣に立つこの人だ。
明らかに異様な雰囲気を纏った【殺人鬼】
「起きたか?A」
『…はい…芥川龍之介さん…』
此処は家じゃない。
コイツが用意した私と彼の寝床だ。
家に帰りたい。…こう思うのは悪いことなのだろうか?
「聞きたい事があればなんでも聞け。質問にもよるが…」
真っ黒な彼に朝日があたった。これほど朝日が似合わない人を今までに1度も見た事がない。
ただ…暗闇でよく見えていなかった顔が明るみになったことが私にとてつもない影響を与えることになろうとは。
そうだ。つまり、あまりに綺麗な顔立ちだったのだ。
『ッ?!はっ?!なんでっ…』
「なんだ…」
《あんたみたいな殺人鬼がこんな綺麗な顔なのよ!!!》
紡ぎたかった言葉は喉の奥で消えていった。
「…まぁいい。僕に対して敵意をむくようであれば、貴様の身体に一つづつ……」
グイッと襟元を引っ張られた。
彼の深淵のような瞳と視線が重なる。
『っ?!なっなに!?』
「…」
無言で数秒間見つめ合う。
この間私はだんだん頬が赤くなっていくのに気付いた。
なんで…こんな奴と目が合ってるだけで……っ
「…ふっ」
くすりと笑った彼は、思い切り私の首に噛み付く。
『なっなにしてっ…あ゛っ!』
ぐちゅっと嫌な音を立て彼が離れる。
首から生暖かい何が流れ出した。
「いいな……?」
『……ぁ…』
この人は…私をどうしたいんだ…?
逃げるチャンスを伺いながら生活すると、誓った。
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あ - 続き待ってます!! 面白かったです! (2023年4月14日 23時) (レス) @page22 id: f2f05df21c (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - 何故、芥川君がオラの名前知ってんだ? (2020年5月25日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
日名無 りん(プロフ) - 本当に芥川さんが格好良すぎて格好良すぎて無事昇天しました…!この様な神作品に邂逅する事の出来た私は幸せです!!!!!! (2020年2月23日 19時) (レス) id: 0a69449343 (このIDを非表示/違反報告)
林檎ばたけ(プロフ) - 納豆御飯さん» わわっ!嬉しいです……!!期待に応えられるよう頑張りますので!!泣 (2020年1月1日 20時) (レス) id: 29e406539b (このIDを非表示/違反報告)
納豆御飯(プロフ) - 貴女の書くヤンデレが大好きです! 更新、無理せず頑張ってください! 応援しています! (2019年12月28日 20時) (レス) id: d545145139 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:林檎ばたけ | 作成日時:2019年3月16日 15時