. * P ! n k II * . 【花巻貴大】

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花巻貴大くん。


はじめて名前を聞いた時は なんて素敵な名前なんだろうって思った。


ぴんく色の頭を見て、


確かにお花だ、なんて思ったっけ。


はじめて部活を見に行った時は


私の方を見て手を振ってくれて。



バレーをしてるときの真剣な顔に


部員とじゃれあってる時の無邪気な顔に


Aちゃんをからかってる時の優しい笑顔に



私は惚れてしまったんだ。

．


．


．


花巻｢町倉は、何か言いたいことない?｣



ふと呼ばれた『町倉』という自分の苗字に



胸がちくりと痛むのを感じた。



もう、愛美って呼んでくれないんだ。



これで本当にお別れなんだ。



私、貴大にとって少しでもいい彼女でいれたかな。


少しでも記憶に残ることしてあげれたかな。



なーんにも、出来てない気がするんだ。



私がしあわせを、貰ってばかりで。



愛美｢…うん。しあわせになってね、貴大｣



せめて最後くらい、いい女でありたい。


涙が零れそうになるのを必死に堪えて笑顔を向ける。


そして貴大に背を向けた。


あの日貴大に褒めてもらった髪飾りを


毎日つけている髪飾りを


右手で外して、近くの花壇に埋めた。

貴大みたいな＿＿＿＿ぴんくのお花の近くに。



ありがとう、さよなら貴大。



＿＿＿＿青空だけが、私の涙を見ていた。


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