本物の私【黒尾鉄郎】part5

本物２１５ ページ29

貴方Side


貴方「音波！」


最後かもしれない。

私が帰りたくなってここに帰ってきた時、みんながここで出迎えてくれる保証はない。

本当だったら殺し屋なんかやめさせたい。平和な日々を送ってほしい。

でも、それをさせてあげられる力が、私にはない。


貴方「ごめん。ごめん音波、みんな！」

音波「姐様、泣かないで。」


私の目から流れる水は、止まる事を知らない。


貴方「ごめんなさい。こんな場所に残して。私だけ、平和な世界に行くなんて！」

朱雀「姐様、大丈夫ですよ。」


みんなはこれから大変なのに。

本当は学校に行っている年なのに。

私は知っている。皆が、学校に憧れているのを。

秘かに、学校ごっこなんていうのをやっていたのを。

それを知っていながら、私は…


貴方「本当にごめんなさい。」

音波「レイラ！」


音波が、声を荒げて私を呼んだ。


音波「いつまでもめそめそするな！お前はお前の道を行け！」


涙を必死にこらえながら話す姿。

胸を張って、私がリーダーだというような姿。

それを見て思った。

あぁ、この子は大丈夫だ。

いや、この子だけじゃない。


１７人「早く出ていけ！お前がいなくてももう大丈夫だ！」


涙を流しながら、胸を張って、仁王立ちで、皆が叫んだ。


翼「早く、どっか行っちまえ！」

研輔「お前なんかいなくても生きていける！」

加奈「私だって強くなった！」

奈々「もう、子供じゃない！」


翼隊。

大きくなったな。臆病で泣き虫だったのに、今ではこんなに…


朱雀「俺はもう、一人前なんだぞ！」

勇磨「もうあんたの教えなんかいらねぇ！」

奈々花「早く幸せになんなさい！」

蘭果「貴方がいなくても、十分やっていけますわ！」


朱雀隊。

優しくなったな。凄くプライドが高かったのに、今ではもう…


梢「ここはもう、お前の場所じゃない！」

凛「泣き虫！さっさと泣きやめ！」

天馬「早くいかねぇと、死者の森に放り込むぞ！」

貴也「とっとといっちまえ！」


梢隊。

笑うようになったな。昔は全く笑わなかったのに、今は…


世亜「変な顔。早く出て行ってください。」

杏奈「いつまでもここに居られたら迷惑だわ。」

弓斗「あんたなんかもういらない。」

炉射「ここの奴らは、みんな強い。」


世亜隊

いい子になった。周りを見なかった子たちが、もう…


音波「早く行ってください。」


音波。ずっと傍に居てくれた子。


貴方「うん。ばいばい。元気でね。」


お別れを。

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