お願い お願いよ、 ページ49
「今日はほんっとに楽しかったです〜!」
その日の夜わたしはベッドの上で未だ今日の余韻に浸っていた。
無「ああ、私もだ…
こんな事を言うのは柄でも無いが、」
どこかしみじみとそう言う無惨さんを目にした直後、
視界が反転した。
「!」
無「…フ、本当にAには私をも惹き付ける何かがあるのだな」
妖しく口角を上げる無惨さん……に、押し倒されているという状況を理解するのにそう時間はかからなかった。
無「A、教えてくれ」
「…」
無「隣で笑うAは、どうしてこんなにも愛しいのだ?」
「…わかりません、」
無「Aが身に纏う周りの人間共とは違うなにかは、一体何だ?」
「……わからない、」
無「………Aは、どうして私を、」
問答無用で口付ける。
わたしから、無惨さんへ。
彼の大きい背中に手を回したなら、想定外の事態に目を見開く無惨さんが目に入る。
しようと思ってしたことではない。
脳死で、彼を満たすようにひたすらキスをする。
………だって、無惨さんがあまりにも儚い表情をしていたから。
呼吸をするために一旦口付けをやめる。
無「A………」
そう言う無惨さんは、わたしを案ずるような表情をしている。
わたし以外の人には絶対見せない顔を。
「大丈夫です
なにもわからないけど、わたしは何処にも行きません」
無「!…………」
次の口付けは無惨さんからのものだった。
その夜が、わたしが初めて自分の、女性としての、大切なものを無惨さんに捧げた夜だった。
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作者名:スイ | 作成日時:2020年1月25日 22時