奇跡と軌跡 <前編>

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聡side






風磨君からマネージャーを通して、『ケンティーが通り魔に襲われ救急車で運ばれた』ということを聞いたとき、時間が止まったかのように感じられた。









だって、昨日まであんなに元気だったじゃない、『聡ちゃん』って優しい微笑みで、おれの名前を呼んでくれたじゃない。









あのケンティーはもういないの？









もう会えないの？









そう思ったら、胸が押しつぶされたかのように苦しくて、おれは身動きが取れなくなった。









これはドッキリなんだ。









うん、きっとそうなんだ。









それでもどこを探しても隠しカメラは無くて、マネージャーの顔を見ると、今にも涙が溢れてしまいそうな、そんな顔つきだった。









演技じゃない。









これは、''現実''なの...？









マネ「撮影大体終わってるから、東京帰るぞ。これは編集で何とかするから。」









そう言われ、憔悴した顔で身支度を始めるおれら３人。









さっきまであんなに明るかった雰囲気が一瞬にして変わった楽屋。









信じられないよ．．．









苦しいよ．．．









でも、今一番苦しいのは、ケンティーなんだよね。







いま、ケンティーはすごくすごく頑張ってるんだよね．．．









ケンティーがまた笑顔で戻ってこれるように、おれら頑張るよ。









＊

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