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型抜き ページ6

逆になんでわからないと思ったのか聞きたい。
私は久しぶりの笑顔で手を差し出しながら、遥の方を向いて言う。
「わかるよ!ほら、私が連れてってあげる!」
遥は凄く嬉しそうにしながら私と手を繋いだ。
「麗の笑顔見るの、すっごく久しぶりだなぁ…」
遥が隣で言う。しっかりと繋いだ互いの手、同じ歩幅で歩く道、小学校低学年の頃の登下校を思い出した。それは遥も同じだったようで、私たちはその話をしながら歩いた。
数分で型抜きに辿り着いた私たちは、早速お金を払って型抜きを貰った。
画鋲とブラシを使って、必死で削っていく。
「あ、折れた」
頑張ったけど、あと一歩のところで折れてしまった。
「やった!できた!」
遥は私より難しい柄だったのだが、綺麗に抜いていた。中抜きにもなっていなければ、濡らした形跡もない。私は、それを見て凄いとしか思えなかった。それと同時に、1番簡単な柄なのに失敗したのが恥ずかしかった。
嬉しそうに見せに行く遥に、私は何も言えなかった。
「麗ー、これあげる!」
遥は貰った景品を私にくれた。
それは、私がずっと欲しいと思っていたシャーペンだった。
でも、遥も同じものが欲しかった筈だ。
貰えたのは1本、それなのに遥は私にそれをくれた。
色もどちらかと言えば遥の好み。
私が戸惑っていると、遥は微笑んで私に言う。
「色は麗の好みじゃないかもしれないけど、麗に元気出して欲しいから、それあげる!」
小さい頃と比べると、遥は本当に変わった。
遥はいつも我儘で、私が全部遥に譲ってた。
でも、今目の前にいる遥は、私に全部譲ってくれる、暖かくて優しい遥。
嫉妬ばかりで、自分勝手な今の私とは真逆。
シャーペンを大人しく受け取って顔を上げ、私は遥と目を合わせて言った。
「…ありがと。」
気恥ずかしくて小さな声になってしまったけれど、遥には伝わった様で、遥は笑顔になる。
それから暫く、私たちはお祭りを楽しんだ。

帰る時間→←お祭り



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設定タグ:一次創作 , オリキャラ , 双子   
作品ジャンル:その他, オリジナル作品
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乙音と海凪(プロフ) - 申し訳御座いませんが、この小説のパスワードを忘れてしまいました。別で新しく投稿するので、其方で見て頂けたら幸いです。 (2021年4月4日 4時) (レス) id: f3435d618b (このIDを非表示/違反報告)
乙音(二次創作)と海凪(一次創作)(プロフ) - 弄月さん» ありがとうございます…!絶賛ネタ切れなのでめっちゃ頑張ります! (2021年2月3日 8時) (レス) id: 1dc2c912d4 (このIDを非表示/違反報告)
弄月 - 投稿頑張って下さい!楽しみにしてます (2021年2月3日 5時) (レス) id: d558e3e2af (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:乙音(二次創作)と海凪(一次創作) | 作成日時:2021年1月17日 1時

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