第五十六話 嫌い ページ9
自分の側で何者かが動く気配。
微睡みから反転、淳は警戒する。
何者かの気配を察知し、淳は素早く起き上がった。
ふと、仮眠を取っている際には何時も傍に置いてある小刀が無い事に気が付く。
「淳」
其の声を聞いて、淳はやっと状況を理解した。
此処は織田が身を置いている部屋の一つなのだと。
彼は瞬きを数回繰り返し訊いた。
「目覚めは如何だ・・・・・?」
『・・・最悪です』
織田の問いに強ばっていた躰から力を抜き、深く溜め息を付いた。
「探し物は此れか・・・・・?」
織田は手に持っていた物を夢主に手渡す。
赤い装飾の付いた鞘、間違い無く自分の物だ。
『ありがとうございます』
鞘から刃を出し刃こぼれが無い事を確認し淳は背を伸ばす。
『今何時ですか・・・・・?』
「今?今は____」
織田は煙草を手に机の上の時計を確認した。
「4時20分だが・・・
もう少し早く起こした方が善かったか?」
『いえ 大丈夫です』
確か今日は1日秘書としての仕事だった筈だ。
ヨコハマのと或る黒会社との対談、そして取引。
其処で森の秘書兼護衛として務めるのだ。
小刀を畳んであったカーディガンの上に置き、今日の日程を思い浮かべつつ淳は『そうだ』と思い出したように云った。
『シャワー・・・貸していただけませんか?』
ポトリ
核爆弾級の発言に躰の動きが停止した織田の足の上、丁度其処に煙草の灰が崩れ落ちた。
.
.
.
「_____」
森と相手側の企業のトップの取引の会話を聞きながら、淳は辺りを警戒していた。
相手側の秘書で在ろう男が訝しげに淳を見つめる。
「いやぁ 其れにしても本当に可憐な秘書さんだ!」
取引は成立。
目の前に置かれた紅茶を飲み乍ら男は云った。
淳を品定めするように見つめる瞳は熱にじっとりと濡れている。
「肌も陶器のように白く夕陽のような瞳は美しいし
何よりとても柔らかそうな躰付きだ」
男はソファから立ち上がると此方へと歩み寄ってきた。
嫌悪感が渦巻くが此処は何とか堪える。
森をちらりと見るが助けは呉れないようだ。
男が1歩、
無意識の内に頬を冷や汗が伝い、シャツの袖に忍ばせた小刀に手を伸ばす。
「____なんて 冗談ですよ」
ハハハと豪快に笑う男に気付かれないよう小さく舌打ちをする。
こういう
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敦君誕生日おめでとう! 05/05
第五十七話 暗殺者として→←第五十五話 果たして其れは夢なのか
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RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 無断転載禁止さん» いえいえ、大丈夫ですよ。 (2018年5月11日 21時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
無断転載禁止 - 私の勘違いでご迷惑をお掛けしましたすいません (2018年5月1日 7時) (レス) id: ad49824d41 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 無断転載禁止さん» アイビスペイントにて描きましたので一応証拠として写真を一時的にあげておきますね。 (2018年4月22日 10時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 無断転載禁止さん» 本垢なら「とっちー」という名前のはずですが・・・。 (2018年4月22日 9時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 無断転載禁止さん» それは私です。本垢か文スト垢かどちらのイラストを見たのかは分かりませんが「雨雫」という名前ですよね? (2018年4月22日 9時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨雫 | 作成日時:2017年4月11日 15時