番外編 ページ26
「きっと次の首領には中也がなるだろうね
「太宰と同じ座なんか死んでも嫌だ」とか言いそうだけど、あんな蛞蝓でも君のような秘書がいたら首領の仕事なんかきっと、まぁ私程ではないにしても・・・立派にやってくれるさ。
ねぇ、淳、部下にね、調べさせてた例の『記憶消去』の異能、あと少し時間が有ればきっと見つかるのだよ。だからね淳、お願いだよ、ねぇ・・・」
太宰は哀しそうに表情を歪めた。
「君には生きて欲しいんだ。私が居なくてもやっていけるだろう?だから・・・」
淳は太宰の声を遮る様に言った。
『其処に彼の人は居ないじゃあありませんか』
『彼の人は闇の中には居ませんよ
ずっと遠く、永遠に辿り着けない場所に居ますもの』
日傘を畳み、その場に置くと、彼女は身一つで太宰の元へと歩く。
ゆっくり、しかし確実に距離は縮まっていく。
「お願いだよ、止めてくれ。
私には君に普通に生きて欲しいんだ。普通の女性として恋をして、誰かと添い遂げて欲しい。」
『私はマフィアです。
今更普通に生きるなんて出来ない』
「でも、それでも・・・」
『私の心には彼の方しかおりません。
他の方と添い遂げる気も毛頭ありません。』
『私はですね、太宰くん』
淳は笑みを浮かべる。儚い笑顔だった。
『君を独りで、寂しい想いをしたまま消えるのを阻止したいのです。』
太宰の元へ辿り着いた淳はその黒を力いっぱい抱き締めた。
「私は、君に、死んでほしくない」
『私は、君を、独りにしない』
太宰は淳の揺るぎない瞳を見て、矢張り哀しそうに微笑んだ。
少しだけ震える腕で、彼女の細い身体を抱き締める。
「何処かね、こうなる事は理解していた筈なのに、何かに期待した自分が居たのだよ・・・」
『私も、貴方方が三人で酒を飲む姿をもう一度見てみたかった。』
淳は敦と芥川の姿を見て、そして太宰を見て、最後に探偵社がいるであろう方向を見た。
太宰が何かを言っている。
しかし、淳にはその言葉は聞こえない。
二人の言葉が重なる。
どちらからか、涙が頬を伝い地面へと落ちた。
『貴方を、好いておりました。
どうか、貴方の夢が叶いますよう・・・』
『願っております』
淳と太宰の言葉が重なり終焉を迎えると同時に、彼等の身体は宙へと投げ出された。
真白なスカァトが二人を包み込むようにして広がる。
嗚呼、でも一つだけ。こんな私にも願いがあった。
目を細め、淳は今生最期に想う。
一度、だけでも良い、貴方に、名前を、呼ん___
文スト三期制作決定おめでとう!→←番外編 ※書きたかった場所だけなので突然始まって突然終わります。
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RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 無断転載禁止さん» いえいえ、大丈夫ですよ。 (2018年5月11日 21時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
無断転載禁止 - 私の勘違いでご迷惑をお掛けしましたすいません (2018年5月1日 7時) (レス) id: ad49824d41 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 無断転載禁止さん» アイビスペイントにて描きましたので一応証拠として写真を一時的にあげておきますね。 (2018年4月22日 10時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 無断転載禁止さん» 本垢なら「とっちー」という名前のはずですが・・・。 (2018年4月22日 9時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 無断転載禁止さん» それは私です。本垢か文スト垢かどちらのイラストを見たのかは分かりませんが「雨雫」という名前ですよね? (2018年4月22日 9時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨雫 | 作成日時:2017年4月11日 15時