5話 ページ6
突然現れたそいつ、沖田総悟は私が旦那に託したマヨネーズの一本を開封すると、私に出されていたお冷にブチ込み始めた。
マヨネーズの油分と水が分離している。
溶けきらないマヨネーズのクリーム部分が水の上に浮いている。
飲む気どころか見る気も起きない。
けれど、土方さんはこれを喜んで飲むだろうから解せないのだ。
「A、水臭いじゃねぇか。
旦那もですぜ。
そんなに犬の餌食べたいなら、言ってくれればすぐに作るのに。」
総悟は笑顔で旦那のパフェにもマヨネーズをかけていく。
苺やホイップクリームで彩られたパフェが、いつのまにかマヨネーズで覆われていた。
もうイチゴもホイップクリームも見えない。
お宅の沖田くん頭おかしいんじゃないの、どうにかしてよ、と耳打ちしてくる旦那に、無理ですと丁寧に首を振った。
立て掛けていた刀を帯刀し、総悟に気づかれぬうちに席を外そうと総悟の目線を伺う。
けれど、総悟の前で逃げる、なんて行為を取ることがどんなに愚かな行為だったか、その時の私はまだ理解できていなかったのだ。
「首っ!
締まってる!」
総悟にがっちりと首をホールドされ、半ば引きずられる形となってしまった。
「旦那ァ。
こいつは早く家に帰ってマヨネーズたっぷりの飯が食いたいみたいなんで、連れて帰りますね。
旦那もその犬の餌、味わって食べてくだせぇよ。」
総悟に引きずられ、甘味処の視線を浴びながら、真選組一番隊副隊長、堀田Aは店を去ることとなった。
こいつと幼い頃から共に生活している自分を褒め称えたくなった。
頭のネジが外れたサディストと寝食をともにしても穴が開かない自分の体の丈夫さを、褒め称えたいと、心から思った。
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作者名:けんそう | 作成日時:2018年5月11日 7時