36話 ページ37
近藤さんはニコッと笑って私の背中を強く叩いた。
「どうだ、
それで救われた命が、俺らみたいに馬鹿騒ぎしてたら、それでいいじゃねぇか。
一人で飲む酒より、大勢で酌み交わす酒の方が上手いなんて、Aだって知ってるだろう。
A。
俺たちはただただ人を斬るだけじゃねぇんだ。
斬った先に何があるか考えろ。」
近藤さんが初めて人を斬った私に、そんな言葉をかけてくれた。
周りを見渡せば、どの隊士も酔いつぶれて、騒いで、笑って。
馬鹿騒ぎという言葉がふさわしいここが、私は好きだった。
たしかに、総悟の言う通り私たちは好き、で働くには重すぎる責任を背負っている。
けれど、今なら。
その責任さえも背負える気がするのだ。
私はきっと真選組のみんなが好きなのだ。
愛してるかと言われれば、そうではなく、一緒にいるのが当たり前の。
そう、家族のような。
...違う、私は責任を背負える気がしているんじゃない。
今なら、もう一度。
彼らとその荷物を背負いあえる気がするのだ。
「真選組に、いたい。」
今度は、ちゃんとはっきり声が出た。
消えそうな声で辞めたくない、なんて呟く私はもう、ここにはいない。
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作者名:けんそう | 作成日時:2018年5月11日 7時