26話 ページ27
外の景色を見ていた総悟が、私の声に気づき、振り返った。
その瞬間がやけにスローモーションで見える。
目線が、視線が合うだけなのに。
そんなこと、長い間過ごしてきて数え切れないくらいあったのに。
視線が交わるだけで、何だが熱っぽさを感じるのだ。
「A、ご__」
「言わないで」
総悟が何を言うのかを察した私は彼の口に手を当てて塞ぐ。
その言葉は、総悟の口から出るべき言葉じゃなくて、私が何より最初に言わなければいけない言葉なのだから。
「私が一番に言わなきゃいけないの。
__ごめん。」
開けた窓から流れるように入ってくる夜風が、私の髪の毛を靡かせた。
「総悟が努力してたことなんて、私が一番知ってるのに。
総悟に、生きていてほしくてもそうできなかってお姉さんがいたことも知ってるのに。
言ってはいけない言葉だって、わかってたのに。
ごめんなさい。
そして、助けてくれてありがとう。」
総悟が息を飲むのがわかった。
ちゃんと、この言葉は通じただろうか。
「俺も、あの時は熱くなり過ぎて、言い過ぎちまった。
...悪ィ、あん時は。」
総悟なりの、不器用な謝り方が何故か心にじいんと染み渡った。
こうしていると、さっきの決心が揺らいでしまいそうで。
また、総悟と剣を持って戦いたいと思ってしまう。
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作者名:けんそう | 作成日時:2018年5月11日 7時