23話 ページ24
「何言ってんだ、お前。
討ち入りで足怪我して帰ってきたのはどこのどいつだ。
一戦交えるのはかまわねぇが、怪我した女とそんなことできるわけないだろ。」
とっとと寝ろ、だなんて私に目を向ける土方さんの着物の帯を、反射的にグッと掴んだ。
「それ、やめてください。
女だから、できないとか。
そういうのは無しで、私と一試合してほしいんです。
怪我してるからだとか、女だからとか。
そんなのただの言い訳にしかならない。
お願いです。
一手だけ。
私と、本気で勝負、してください。」
土方さんが目を見開いたのがわかる。
「...わかったよ。」
彼が吐き出した紫煙がじわっと目に染みた。
いつぶりだろう。
土方さんと剣を交えるなんて。
物心ついた時からいつだって剣を交えてきたのは総悟で。
・
夜だからか、道場の床はいつもより冷たい。
素足でしっかりと床を踏みしめ、いつもより力強く竹刀を握った。
土方さんは総悟よりも背が高く、ガタイが良い。
土方さんだって総悟と同じ男、で私との間には深い溝がある。
私はそんな心の靄を振り払うように大きく一本踏み出した。
静かな夜、真選組屯所で、竹刀と竹刀がぶつかる音が響いた。
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作者名:けんそう | 作成日時:2018年5月11日 7時