2話 ページ3
総悟との組合が終わり、私は腕を広げて道場の床に寝転がった。
道場の床は所々歪んでいて、新選組隊士の努力の跡が垣間見える。
「...負けた。」
「負け犬にはペナルティが必要でさァ。」
仰向けに寝転び、宙を見る私を見下ろし、総悟は言った。
「昔の話でしょ、それ。
いいじゃん、ペナルティ無しに試合くらいしてくれたって。」
昔は、まだ歳が片手で数えられたくらいの時は、よくペナルティで山を走ったものだ。
私も、総悟もお互いに勝っては泣けての譲らない試合を幾千とも繰り返していた。
山を悔しい思いで登りきった暁には、二度と負けないと誓うのだが、それは相手も同じこと。
負けず嫌いだったのだ。
私たち二人は。
それでお互いに高め合ってきた。
お互いに新選組という土俵に上がって来るまで成長できた。
私はむりくと体を起こす。
「ねぇ、総悟。
もっかい試合しよう。
土方さんの備蓄マヨネーズをかけて、さ。」
総悟の口角が上がるのが分かった。
幼馴染として、総悟のことは結構知っている。
こいつが並みの挑発じゃ乗らないことも。
面白そうな事には、目がない事も。
「俺が勝ったら土方さんのマヨネーズは全部Aにプレゼントしてやるよ。
毎日三食、犬の餌、存分に味わいな。」
「私が勝ったら土方さんのマヨネーズ、全部あんたの口内にブチまけるから。」
こうやって終わらない試合を繰り返す事が、楽しかったりするのだ。
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作者名:けんそう | 作成日時:2018年5月11日 7時