13話 ページ14
「足は大丈夫なのか。」
攘夷浪士の殲滅から早3日。
屯所内を、足を引きずって歩く私を見るなり、土方さんは私の顔を覗き込んだ。
「すいません。
まだ斬り合いとかは無理ですけど、速攻で治しますので。」
精一杯の笑顔で笑った。
つもりだった。
土方さんは、私の肩を叩き、お大事になと言って去って言った。
今だけは、作り笑いを見破らないで欲しかった。
土方さんは、気づいていただろうか。
気づかないでいてくれた方が、嬉しい。
それにしても、この足はいつ治るのだろう。
足に負担をかけるといけないからと、今は素振りさえも許されない。
早く、一刻も早く復帰しないと、また力の差が明瞭になってしまう。
怖かった。
幼馴染として隣に立っていたはずの総悟は、もう私の見えないところまで行ってしまった。
幼馴染だからこそ、悔しいのだ。
始まりは同じだったのに。
どこで私たちの差はこんなにも開いてしまったのだろうか。
いつから、幼馴染だった総悟は手の届かない場所へ行ってしまった?
「怪我の具合はどうなんでィ。」
気づけば、総悟が目の前に立っていた。
私を軽く越すその身長も、低くなったその声も。
今は見たくなければ、聞きたくもなかった。
誰のせいでもないことを、総悟に当たってしまうから。
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作者名:けんそう | 作成日時:2018年5月11日 7時