12話 ページ13
「何やってんだ、お前。」
出そうにない声を絞り出してやっとのことでごめん、とだけ呟いた。
剣を杖のようにして立ち上がる。
左足は折れてしまったのだろうか。
足を引きづりながらではないと立てない自分が悔しかった。
何か言葉を言わなければ、と思うのだけれど、どう考えを巡らせてもごめんとしか出てこなかった。
「ごめん。」
そう言った私の顔を、総悟は見ていなかった。
私は一体何に謝っているのだろうか。
一人で独断専行した事に?
左足に怪我を負った事に?
新選組の顔に泥を塗った罪滅ぼしのために?
だとしたら私は最低な野郎だ。
ごめんと呟くこの言葉でさえ、自らを守るために言っているのだから。
総悟は足に怪我を負った私の肩を担いだ。
「大丈夫だから。」
そう言っても、総悟は離してはくれなかった。
「大丈夫じゃないくせに、何言ってんだ。」
私が悔しい思いをしている事なんて、きっと総悟にはお見通しなのだ。
昔から決まってそういう時、総悟はむやみに声をかけては来なかった。
それが彼なりの優しさなのだろう。
けれど、今ではその優しさが余計に心に沁みる。
「そうだね、私、大丈夫じゃないかも。」
戦場で立つことすらままならない自分がいることが、何より悔しかった。
幼馴染の肩を借りないと立てない自分がいる事に、嫌気がさした。
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作者名:けんそう | 作成日時:2018年5月11日 7時