1話 ページ2
渾身の一撃のつもりで繰り出した突きをひらりと躱される。
そして目の前にいる、奴が渾身の一撃のつもりで繰り出したであろう一撃を私も交わした。
少しでも気を抜けたら負けてしまう、そんな緊迫感の漂った戦い。
逆に言えば、気を抜かなければ永遠に続きそうな、そんな力の拮抗した戦い。
「そろそろ負けを認めたらどうなんだィ。」
「それはこっちの台詞。」
竹刀と竹刀が大きな音を立ててぶつかった。
その瞬間、腕に大きな衝撃を感じる。
あまりにも早く、一瞬のように流れた月日が、私たちの男女という埋められない力量の差を浮き彫りにしていた。
力で竹刀を持つ腕を後ろに弾かれる。
立て直している時間はない。
私の首を取ろうと攻撃を仕掛ける奴の竹刀の軌道を読み、避けた。
はず、だった。
「いつまでも同じ手、使うと思わないで欲しいんだけどなァ。」
いつも通りなら右上から振り下ろされたであろう彼の竹刀を。
それが今日、左下から突き上げるように私の首に当てられた。
「...一本。」
私の首に竹刀を当てがって、口角を上げる其奴は、真選組一番隊隊長。
沖田総悟。
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作者名:けんそう | 作成日時:2018年5月11日 7時