猫系女子と猫かぶり系男子 (ページ46)

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花宮side

ガチャ

花「りんご剥けたぞ。」

瀬「ありがと。」

自分で買ってきたりんごを剥き、

健太郎にわたす。

花「.......。」

瀬「........。」

シャクシャクと健太郎がりんごをかじる音が

響くだけの無の世界に、

いたたまれない気持ちになって

自分から口を開いた。

花「で、話って何だよ。」

瀬「分かってるくせに。」

......あぁ、分かってるよ。

瀬「Aから、聞いた？」

花「お前にフラれたっていう話か？」

なんとでもない、というように答えれば、

俺はかなりいっぱいいっぱいだというのに

健太郎は涼し気な顔をして予想外のことを言う。

瀬「花宮は、優しいよね。」

花「.....は？.....何言ってんだよ、バカじゃねぇの。」

バスケ界で悪童と呼ばれる俺が、優しい？

瀬「......俺は、Aの隣にいる資格はない。だから花宮、あいつのこと頼むよ。」

なんだよ、それ。

花「つまらねぇこと言ってねぇでとっとと寝ろ。俺は帰る。」

荷物をまとめて立ち上がり、

ドアを開けて言い捨てた。

なのに。

瀬「花宮、きてくれてありがとね。」

どうしてそんなに穏やかな顔をしてるんだ。

ムカつく。

盛大に舌打ちをして激しめにドアを閉め、外に出た。

俺が中西Aのことが好きなのも、

中西Aが健太郎のことが好きなのも、

俺がそれを知っていて余裕が無いのも、

全て見透かされているみたいで

無性にイライラした。