面倒臭い奴 ページ30
数十段ある階段をかけ上がり屋上の扉を荒々しく開き屋上の縁に立っている少年に向かって怒鳴る。
「また自 殺しようとしてんなこの阿呆!!」
「げっ?!見つかった!」
土煙を上げながら走ってやっと追い付いた屋上でビシィッと太宰を指差し叫ぶ。そんな俺を見た太宰は凄い嫌そうな顔をしていたが俺は気にせず太宰に歩み寄り首根っこを掴み闇医院へと引きずる。
「口を酸っぱくして俺が診察で出ていく前に『病室で安静にしてろ』ってあんなけ言っただろうが?!さっさと帰んぞボケ!」
「ちょっ?!痛いって!歩くから!歩くから引きずるのはやめて?!あ、けどこのまま窒息し出来そう…」
「ぶん殴るぞ」
最後の一言でちゃんと俺がキレる様な事を言って地雷を踏んでいく太宰にイラッとする。そして自分でも何処から出てんだと言う様なとんでもなく低い声でそう言うと太宰は唇を尖らせながらぐちぐちと呟く。
「ちぇっ…僕は死にたいのにお邪魔虫が居て全然死 ねないや」
「お邪魔虫で結構だ。こっちからしたら折角助けた命を無駄にされたくはねぇからな」
「え?何?ツンデレ?気色悪いんだけど?」
「どうしたらそうなるんだよ?!お前本っ当に張っ倒すぞ?!」
俺が率直に言えば勝手に馬鹿な解釈をして引く太宰に怒鳴る。
……最近俺の中でのこいつの印象は『変わった患者』から徐々に『変人の最低野郎』に変わり始めている。
自 殺をしようとして失敗して俺や森さんに迷惑をかける。もしくは自 殺を阻止しに俺が仕事があると言うのに駆り出されて業務が滞る。
そして助ければ助けたで「何で死なせてくれない」と怒る。もしくは阻止した俺をキレさせる言動をする。
正直に言うととんでもなく面倒臭い奴である!
……それに一日経てば俺についての記憶が無いためにまた一から話さなくちゃいけないのがとても苦しい。
俺は太宰を素巻きにして病室に放り込んだ後廊下に出て誰にも聞こえない様にそっと溜め息を吐いた。
「……俺が勝手に願って叶えちまった望みだとしても案外忘れられるのって苦しいな…はぁ………何であんなこと願っちまったのかな俺……」
俺はそんな事を願った自分と自分の異能力を心底呪いながら呟いた。
「……こんな異能も俺も無くなっちまえば良いのにな…」
だけどそれでも俺は窮地に立った途端頼って仕舞うのだろうな。
この呪いの様な異能力に。
ーー
本来の時間軸で何故太宰さんが桐崎君を忘れてないのかは社長の異能ので願った事の威力を押さえているからです。
順位更新やったぁ!
【桐崎君にとっての周りの印象】
乱歩:唯一異能で一度自分の事を忘れた筈なのに覚えてくれた人物。推理だけで自分との関係を割り出した乱歩の事は本当に凄いと尊敬している。
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那戯田沢 亜須@グラブル中毒者(プロフ) - 倉の中の石さん» ありがとうございます!思惑通りに暗い過去と思って頂けてついガッツポーズを仕掛けました(笑)続編頑張りますね!! (2019年7月8日 0時) (レス) id: 480a6a9b45 (このIDを非表示/違反報告)
倉の中の石 - すごく面白いです。こんなに自然な暗い過去は久しぶりに見ました。続編も頑張ってください。 (2019年7月7日 17時) (レス) id: 873805d7e2 (このIDを非表示/違反報告)
那戯田沢 亜須@グラブル中毒者(プロフ) - 鶴さん» 読んで頂きありがとうございます!更新頑張りますね!! (2019年7月7日 14時) (レス) id: 480a6a9b45 (このIDを非表示/違反報告)
鶴(プロフ) - 初めて見たんですが、とっても面白いです!更新頑張ってください!応援しています! (2019年7月7日 14時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
那戯田沢 亜須@スマホ使用不可で低浮上中(プロフ) - 夜美さん» ありがとうございます!まだ推敲中ですががんばりますね!! (2019年7月5日 20時) (レス) id: a29dbc7b52 (このIDを非表示/違反報告)
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