第25話 ページ26
＊
僕はみかと違って、以前先輩と共同で住んでいたところで暮らしている。
だから昨日から宗くんたちとは、会っていない、けど。…みかは、どうしているんだろうか。
『(…好きにしろ、ってことは…部室じゃなくて、教室に行くんだよね…)』
元より馴染んでいた訳では無いから、別に今更孤立を恐れているわけでは、ないのだけれど。
『…ううん…』
…僕の教室、どこだろう。
僕って2-Aと2-B、どっちだったっけ。
進級してからほぼずっと、手芸部の部室に閉じこもっていた僕は学院の玄関で途方に暮れていた。
周りは知らない人だらけ…と、いうか、昔関わりのあった子…例えば蓮巳くんとか、あの月永くんとか。
何となく話したことはあったのだけれど、きっと僕のことなど忘れただろう。
僕のクラスを教えてください、なんて見知らぬ生徒にそんなことは…聞けない。
好きにしろ、と言われても、結局自分がどうすれば良いのか分からない。
それは、誰かに甘えて生きてきた僕が、悪い。
暫く頭を抱えながら、靴箱の前で彷徨っていたら、
｢＿＿＿あれぇ、あんた影片じゃない？｣
『…えっ』
聞いたことあるような、ないような。そんな声が背後から聞こえてきた。
｢あんた生きてたんだねぇ、全然顔見ないし学校止めたのかと思ってたんだけど｣
『え……』
朝日に照らされて、きらきらと輝く銀の髪。少し癖のある髪とは反対に鋭い水色の瞳の彼は、じりじりと僕に近づいてきた。
｢…なぁに？あんた影片Aじゃないの？
一年の頃仲が良かったって、れおくんが言ってた気がしたんだけど…｣
『あ、うん、僕は影片Aだけど、……れお、くん』
｢…覚えてないの｣
彼は、僕をじっと睨んでいる。
『っううん、覚えているよ。月永レオ、月永くん。一年生の時、よく話してくれた』
宗くんといつも、芸術がどうって言い合ってた。
そんな二人の傍に、何となく僕も並んでいたことがあったっけ。
｢…覚えてたなら、いいけど｣
僕が答えると彼の威圧感がずっと消えて、代わりにどこか懐かしむような目線を感じた。
｢……早くしないと遅刻するよ｣
『あ…』
去っていく彼に言われて急いで靴を履き替えて、
僕のクラス、彼に聞けばよかった、と思いつつ廊下の角を曲がると、
とっくに自分の教室へ行ってしまったと思っていた彼が、まだそこに居た。
｢…遅い｣
『ご、ごめん…あの、…待っててくれたの？』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 120人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
英智君尊いよぉぉぉぉ(((殴 - 待ってます!!! (2017年6月8日 7時) (
レス) id: 2f00a5668f (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 英智君尊いよぉぉぉぉ(((殴 さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！目処が立ちしだい載せさせていただきますので、お待ちください,,,! (2017年6月7日 21時) (レス) id: f51b0c6802 (このIDを非表示/違反報告)
英智君尊いよぉぉぉぉ(((殴 - また新しく小説を作るなら余ったページでお知らせをしてください!すぐに見に行きます!!! (2017年6月6日 23時) (レス) id: 2f00a5668f (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 英智君尊いよぉぉぉぉ(((殴さん» ご指摘ありがとうございます…!直してきました、本当に有難いです。すみませんでした (2017年5月30日 20時) (レス) id: f51b0c6802 (このIDを非表示/違反報告)
英智君尊いよぉぉぉぉ(((殴 - 18話の零さんの台詞の「妙なことは言わないことを願うけどよ」が「妙なことは言わないとことを願うけどよ」なってますよ〜! (2017年5月30日 20時) (レス) id: 2f00a5668f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2017年5月25日 19時
