血で染る思い出 ページ9
｢ここじゃ
..............あやつ、魔法で結界を張っておるわい。しかも臭いまでも閉じ込めておる。どおりで魔獣であるあの童が気付かん訳じゃ｣
確かめるために、扉へ触れてみると、ビクリともしなかった。ドアノブを回しても開かない。魔法で破壊しようとしても、効かない。
｢解きましょう｣
｢手伝ってやろうか？｣
｢いえ、大丈夫です｣
他人が張った結界を解くには相当な技術が必要だ。
だが、Aに魔法を教えたのはクロウリーである。
少々骨は折れるが、これくらい苦でもない。
｢解除できました｣
｢フン｣
ギィ、と音を立てて開く扉。
｢っ！？！？｣
ツーンとした吐き気を催す異臭が、一瞬で襲ってくる。
気を抜けば胃の中の物全てが逆流してしまいそうな、鉄臭さと、カビと、ホコリの臭い。明かりをつける事を忘れ、急いで窓を開ける。
風の吹く日で新鮮な空気が入ってきやすかったのが救いであった。
外の空気をありったけ吸って、吐き気を抑え込む。
ゆっくりと後ろを振り替える。夕日の暖かな光に包まれているが、その光景は太陽の暖かさとは似ても似つかない残酷なものだった。
｢ぁ、あぁ.......なんてこと｣
使われていないベッドは、赤黒く変色している。
あちこち壊れている家具。そこにも血がこべりついている。壁には飛び散った沢山の返り血。床は血溜まりだけではない。
無理やり引きずられたあとが残っている。
壁にも血で象られた無数の手形。
床に転がっていた特に血が染み付いていた木の棒を手に取るがそれは、木と呼ぶにはあまりにも重々しいものであった。
｢.......Aの、血じゃ｣
部屋の中央には剥がされた爪が数え切れないほど散らばっていた。
綺麗なものから、形が歪なものまで。
剥がしては魔法で治しの繰り返しだったのであろう。無理に適当に生やされた爪は回数を重ねる毎に歪な形へと変わっていく。
Aの部屋からでてきた数枚の爪。
ここの部屋に付着している血はAのモノで、ならばここにある無数の剥がれた爪も
まさか、まさかまさか
｢っ.......！！｣
嫌な結び付きに顔をゆがめた。
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sanos3568(プロフ) - なんとも言えない感じの、みんなが望むハッピーなエンドじゃない終わり方…!!!すごく新鮮で続きが欲しくなってしまいます (2021年1月10日 22時) (
レス) id: f4781f67b9 (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - 終わってしまっている！？え、大好きな作品だったのに。 (2021年1月10日 12時) (レス) id: 12d17130d4 (このIDを非表示/違反報告)
よる - ぉわ、終わｯ？！えぇ？！めちゃくちゃ好きな作品なのに！逆トリってあまり好きではなかったんですけどこの作品はとても面白くスラスラ読んでしまいました笑諸事情もあるかも知れませんがまた更新してくれる日をまってますね！ (2021年1月2日 14時) (レス) id: d830d551d8 (このIDを非表示/違反報告)
もろこしとう - 続きが気になります…。初期のほうから見ているものです。もう更新はしてくださらないのでしょうか…。作者様にもいろいろあるのかもしれませんが、個人的にとても好きな作品なので、またあなた様の作ったお話を読みたいです。待ってます。 (2020年11月30日 23時) (レス) id: 46812cc13c (このIDを非表示/違反報告)
夢唯(プロフ) - これはっ好きすぎるぅっ!!!!!!!!!! (2020年11月22日 3時) (レス) id: e7fe9bf464 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆっこ | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/novel/series/1297564
作成日時：2020年8月21日 12時
