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一「誰だ!!」
シスターは、ナイフを声の主へと突きつけた。
しかし、其奴は動揺の一つもしない挙句、
シスターの顔を見るなり満面の笑みで言った。
?「ほう!中々良い顔立ちをしているな?少年!」
その一方、シスターの顔は血の気が引き、其奴から目を離さないままに怯えた目つきをする。
一「きっ……吸血鬼…!」
?「…少年、もしや…我の真の姿が見えているのか」
吸血鬼、と呼ばれた其奴は一見、なんの変哲もないただの人間の男である。
しかしどうやら、シスターには別の姿が見えているらしい。
?「知られてしまっては、変化ももう必要あるまい」
そう言うなり、其奴はみるみる姿を変えた。
耳は尖り、牙ができ、
服も一変、黒マントに少し派手目なスーツとなった。
?「我が名はカラマトゥ!御前の言う通り吸血鬼さ。」
一「吸血鬼なんかが俺に、何の用だ!」
ニヤリと笑う吸血鬼に、噛み付きそうな勢いでシスターは叫んだ。
だが吸血鬼はあくまで落ち着いている。
?「そう怒るな、少年。
確かに自害を邪魔した挙句、怯えさせてしまっているのは謝罪しよう。
しかし我は、御前に礼を言いに来たのだ。」
一「…礼……?」
襲う気はないのか、と気がついたのか、シスターは少し冷静になったらしい。
吸血鬼の言葉に、聞き返す位の余裕はできたようだ。
カ「そう!礼だ!御前だろう?そこの十字架にヒビを入れたのは」
吸血鬼が指差す方を見れば、其処には先程ナイフを突き立てた十字架があった。
劣化していた十字架は、ナイフを一度突き立てただけでいとも簡単にヒビが入り、既に崩れかけていた。
一「…そ、そうですけど……
すみませんね、見るからに信教してるっぽいのにこんな罰当たりな事して…」
カ「そう卑屈になるな、少年!」
一「…あのさ、俺、少年じゃなくて、一松」
カ「一松!ふむ、良い名だ!」
シスターが名乗ると、吸血鬼は腕組みをしてうんうんと頷いた。
そんな吸血鬼に、怪訝な表情を浮かべるシスター。
しかし吸血鬼はそんな事御構い無しである。
カ「俺は吸血鬼だからな、この十字架がある事によって、此処には近づけなかったんだ」
一「…ああ、そういう事。
でも別にそれ、俺礼言われる意味ないよね。
俺も此奴には私怨があっただけだから」
と、十字架を指差した。
カ「…私怨?神に仕える者の制服に身を包む、君が?」
一「あんたに話す必要はねぇだろ。
…あんたが此処に用事があるなら、俺は去るから」
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おそ松さんgirl(プロフ) - みくさん» ありがとう!頑張る!! (2018年6月3日 23時) (レス) id: 1f58a69c9c (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - 面白いよ!更新頑張ってね! (2018年6月3日 23時) (レス) id: 7f167612e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:松壱 | 作成日時:2018年5月20日 12時