plus one 【警察学校時代】

学校祭 (3) ページ25

A「『貴方はだぁれ？』」




萩原「『俺はチシャ猫 ただの猫さ』」






ゆっくりとAの周りを回りながら、萩原はそっとAの髪をすくう



まるで壊れ物を扱うかの如く、慎重に毛先まで指を這わせると そっと持ち上げて触れるか触れないかのキスをした








降谷「おい、あんなの台本になかったぞ」



景光「まぁまあ」



松田「景光だって、本番にアドリブぶっ混んできたろ」







そう言って、松田は測定器をチラリと見ると「95」と呟いて 視線を舞台へと戻した







A「『ﾌﾌｯ、おかしな猫さん

ねぇ、道を聞きたいのだけど』」






萩原「『あぁ、いいよ

で、どこに行きたいんだ？』」





A「『それが……
どこに行きたいのかわからないの』」




台本通りに困ったようにため息をつくA

すると萩原はフッと微笑み 身を乗り出すと、 あとちょっとで鼻がつく程の至近距離まで顔を近づけた






萩原「『ならどうでもよいさ』


好きなところに行けば良い
海でも、
山でも、

……腕の中でも」






萩原はゆっくりと笑顔のままAに迫ると
小道具の木の幹まで押しやり そのまま腕の中にAを納めた後、耳元で囁くように呟いた








景光「壁ドンと耳ツブのコンボかぁ」



松田「景光、あれ壁ドンじゃなくて肘ドンって言うらしいぞ」




降谷「……なんでも良いが台本から外れすぎだ

見ろ、Aがショート寸前だろ」







アドリブに続くアドリブで完全に固まってしまったA



すると、萩原はパッとその場から飛び退き 笑みを浮かばせながら続けた






萩原「なぁんてな？

『行きたいところがわからないなら、どの道を選んだってそこに辿り着けるさ』」








景光「あ、台本に戻った」



松田「アイツ…… ここまでよんでたのか？」



降谷「いや、恐怖で戻したんだろ」



景光・松田「「？」」






景光と松田は降谷の指先を辿ると、審査員席にいる 姉：白雪 妃 の般若の如し笑顔に納得したように頷いた







伊達『え〜…… ｺﾞﾎﾝ

良い子の皆は 怪しい人に声をかけたり、かけられたりしても近づかないようにな』

学校祭 (3.5)→←学校祭 (2,5)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す