23話 中断 ページ24
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____キィィィイン……_______________
鋭い音と共に火花が散った。
刀を交えている相手は鬼殺隊随一の天才。霞柱・時透無一郎殿だ。
徐々に、霞柱様の淡々と打ち込む姿勢に余裕がなくなっていくのがわかる。私もそうだ。
相手をねじ伏せることが目的の単純な斬り合いで、これほどまでに白熱したのはいつぶりだろうか。上昇する速度に体が順応してさらに激しさを増していく。
歳は違えどやはり男と女。力負けする部分は経験と技術で補って戦うが、お互い鬼を滅する時のように全力では無いためか、実力はほぼ互角。決着は見えない。
『(_______変なの、昔の記憶はないのに、この髪飾りだけは絶対に守らなきゃならないって体が叫んでる気がする。どこで手に入れたかも、どんな思い入れがあったのかもわからないのに、他の人に触られると自然と怒りが湧いてくる。)』
どうしてだろう。答えはきっと記憶の中にある。
わかってる。
鬼が陽の下に出たら死ぬことを本能で感じるかのように、何をしたら記憶が戻るのか、少しだけ知ってる。
『(だけど_____)』
「よそ見するなんて随分余裕があるんだね」
『…………っ』
ふっかけたのは確かに私。だけどまさかあの霞柱様がここまで付き合ってくれるなんて思いもしなかった。
私はただ、大切なものを守らねばと思っただけで…
大切なもの…大切な人……いた気がする。
私にも……美しいものを素直に美しいと感じる心があった気がするんだ。
「__!」
相手の攻撃をかわし、間合いから離れた。これはこの草試合の中断の意を表している。
『霞柱様。刀身がボロボロです。これ以上の斬り合いは不毛かと。1度産屋敷殿に鴉を出しましょう』
「…………」
私が刀を鞘に収めたのを不快感を孕んだ目で見つめている彼は、少し考たそぶりをしてから構えていた刀を下ろして、鞘に収めた。
霞柱様の刀は元々少し刃こぼれしていたせいか脆くなっていたのかもしれないけど、かくいう私の刀も所々傷ついている。つい夢中になりすぎてしまったな。
『今日は近くの藤の家紋の家へ参りましょう。こちらへ』
まもなく、ポツポツと雨が降ってきた。
彼は霞色の瞳で虚空を見つめている。
彼自身は相変わらず何を考えているのかよく分からないけれど、あの真っ直ぐで曇りのない先程の剣技の才を見て、本物だとすぐにわかった。
『……?』
胸を高鳴らせて震える、疼く。
この感覚は知っていた。
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ほしいも(*^^*)(プロフ) - 設定めっちゃ自分の好みでした!(笑)更新少しずつでいいので頑張ってください〜!😁 (12月13日 16時) (レス) @page40 id: 88768a4726 (このIDを非表示/違反報告)
向汰(プロフ) - 空桜さん» そう言っていただけて嬉しいです!それに、私以外にも頑張っている方がいらっしゃるのだと思うと少し肩の力が抜ける気がします(´˘`*) 試験頑張ってください。応援しています (2019年9月23日 1時) (レス) id: 1112aaa288 (このIDを非表示/違反報告)
空桜(プロフ) - 待ってますね!私も就職試験あります。お互い頑張りましょう! (2019年9月23日 1時) (レス) id: e5333279ca (このIDを非表示/違反報告)
向汰(プロフ) - 何卒さん» ありがとうございます〜〜!気長にお待ちください(´˘`*) (2019年9月22日 21時) (レス) id: 1112aaa288 (このIDを非表示/違反報告)
何卒 - めっちゃ気になるところで終わってしまってウズウズしてます。笑 続き楽しみにしています! (2019年9月21日 1時) (レス) id: 58baba6999 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:向汰 | 作成日時:2019年8月25日 1時