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帰ろう? ページ22

そこに、彼女はいた。

満月が照らす山頂で異形と成し遂げた刀が。

小夜「近景、様…?」

あれは本当に備前近景なのか。
ゆっくりと彼女が振り向く。

備前「」

ところどころにヒビが入った体。
既に顔の半分を損傷していた。

「備前…?備前なのね!?」

備前「主さん…?」

「捜したよ。早く手入れしないと!」

備前「来ないで!!」

歩み寄ろうとした審神者を声で制す。

「備前…。」

備前「やだ!来ないで!」

備前の拒絶に刀剣達が足を止める中、
審神者はゆっくりと確実に距離を縮める。

備前「来ないでよ!!!」

髪が触手のようにうねり地面を蹴る。
ようやく審神者は足を止めた。

備前「お願いだから…もう私に関わらないで…。」

「やだ。」

きっぱりと言い放つ審神者に備前だけでなく
周りの刀剣達も唖然とした。

「私は備前を知りたい。何が好きなのかとか
色々話したい。主としてじゃなく、友達として
仲良くなりたい。もっと一緒にいたい!」

「だから…」

意を決して地面を踏みしめる。
うねる触手が意志を持っているかのように
近づく審神者に激しく威嚇する。

備前「来ないで!」

「っ!」

長谷部「主!!!」

跳ねた小石が審神者の頬に当たる。
それでも審神者は歩みを止めなかった。

備前「や…」

「帰ろう。近景。」

審神者が備前を抱きしめる。
ギョッとした顔で備前はそれを拒んだ。

備前「さ、触らないで!離してよ!!」

「やだ!絶対離さない!もう絶対に近景を
一人にさせたりなんかしない!」

「何もかも一人で抱え込まないでよ!
苦しいなら苦しいって、悲しいなら悲しいって
遠慮しないで言ってよ。…私にも守らせてよ。」

震える手で備前を更に抱きしめる。
痛いくらいに強く。


『父様…。』


その姿に幼きガラシャが重なった。
審神者を攻撃していた触手が止まる。
拒絶していた心が審神者の真っ直ぐな想いを
受け止めた瞬間だった。

備前「私、バケモノになっちゃったよ?」

「どんな姿でも近景じゃん。」

備前「一緒にはいられないかもよ?」

「上の人に頼んでどうにかしてもらう。」

備前「無理だよ。」

「無理じゃない!なんでそんな事言うの!?」

審神者が顔をあげる。
月を背に禍々しい刀は

備前「だって、もう折れちゃうから。」

儚い笑みを浮かべた。

月が綺麗でした→←備前近景の消失



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ロト(プロフ) - たぬきねこさん» ありがとうございます!ダラダラとですが更新頑張っていきます! (2018年3月10日 16時) (レス) id: b951fa5b4a (このIDを非表示/違反報告)
たぬきねこ - グルメ番組かよで不覚にも笑った頑張って下さい! (2018年3月10日 16時) (レス) id: a2c5151ef6 (このIDを非表示/違反報告)
ロト(プロフ) - ニガウリさん» ありがとうございます!ゆるゆる更新頑張っていきたいと思います。 (2018年2月11日 10時) (レス) id: b951fa5b4a (このIDを非表示/違反報告)
ニガウリ(プロフ) - 私も、明智さん好きだから、この作品大好きです!!更新頑張って下さい(*ゝω・*)ノ (2018年2月11日 10時) (レス) id: da81750a6d (このIDを非表示/違反報告)
ロト(プロフ) - 黒狐コハクさん» 読んで下さっただけでなくコメントまで…ありがとうございます! (2018年1月9日 19時) (レス) id: b951fa5b4a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ロト | 作成日時:2017年12月25日 13時

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