190時間目 ページ2
荷物を持ったまま、私達は校舎裏に行く。赤羽君はずっと黙っているのでとても気まずい。何から話せば良いのだろうか。
「…話したい事って…？」
『あ…あの…。まずは関わりたくないとか嫌いとか言ってごめんなさい。私を気にかけてくれてたのに、酷い事を言いました』
「…その事なら別に気にしてないからいーよ」
心なしかいつもより返事が素っ気ない気がする。
『…赤羽君、…その…』
赤羽君は私を見て息を吐いた。
「前に俺が言った事、気にしなくていいから」
そう言って笑った赤羽君。だけど、無理して笑っている様に見えるのは私の勘違いだろうか。
「だからいつも通りでいいよ」
あ…と思った。周りが私を挙動不審だと思ったなら、聡い彼が私の様子に気付いていない訳がない。
私はまた、赤羽君に気を遣わせている。
背を向けて歩き出そうとしている赤羽君に向かって、ほぼ無意識に叫んだ。
『…好きです！』
赤羽君が目を見開いて振り向いた。何故か涙が溢れそうになる。
『赤羽君が好きです。本当に好きなんです。私なんかといても迷惑ばかりかけると思うけど…それでも…
私は赤羽君の隣にいたいです…』
言い終えた瞬間、赤羽君に抱き締められた。その温もりで遂には涙腺が決壊する。
「''なんか''じゃない…。俺も水本さんの隣にいたい」
掠れた声で言う赤羽君。
「…好きだよ、水本さん」
こんなに幸せだと感じて良いのだろうか。私も赤羽君の背中に手を回そうとした時…
「おい、あんまり押すなよ！」
「バカ！気づかれるだろ！」
その声の方を見ると、陰から覗いているみんなとカメラを持った殺せんせーがいた。まさか、ずっと見られていたのだろうか。思わず赤羽君を押し返してしまった。
「いや〜お熱いことで」
「Ｅ組最初のカップル誕生ですねぇ」
「教師の癖に、生徒の話盗み聞きするとかどうなの？」
赤羽君の言葉で泣き真似をしている殺せんせー。恥ずかしさで居た堪れなくなり下を向いた時、手を掴まれた。
「帰ろう水本さん」
そう言って私を見て微笑む赤羽君。ヒューヒュー、と揶揄われる声を背中に受けながら校舎を後にする。
明日からも揶揄われそうだなと思いながらも、今はただ赤羽君の隣にいられる嬉しさに浸っていた。
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uru(プロフ) - みなさん» ありがとうございます！！続き書くの頑張ります！！ (2020年5月13日 19時) (
レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
みな(プロフ) - 続きが気になって気になってうずうずしてます、楽しみに待ってます！！ (2020年5月13日 18時) (レス) id: e3da0156bf (このIDを非表示/違反報告)
uru(プロフ) - 澪桜さん» ありがとうございます、凄く嬉しいです！！これからも更新頑張ります！ (2020年5月5日 21時) (レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
澪桜 - 初コメ失礼します。この小説を見つけてから一気に読破しちゃいました笑笑すごく私好みの作品ですごく面白かったです！！これからも読ませていただきます！笑笑更新頑張ってください！応援してます！！ (2020年5月5日 20時) (レス) id: 5d0f326b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：憂流 | 作成日時：2020年5月4日 19時
