No.52*チョコレート ページ22
華恋side
「中原さん」
目的地の倉庫を目前としている時、中原さんに声を掛けた
「ん?何だ」
「私が、"もし"可笑しくなったら殴ってでも正気にさせて下さい」
中原さんは私の言葉に目を丸くした
もし
昔の私が蘇ったら
昔の私に戻ったら
もう、皆と居れなくなっちゃうから
「女に殴るなんてしねェよ。手前は葵の大事なダチだ。ちゃんと守るに決まってんだろ?」
今度は私が目を丸くした
そして、もう1人じゃ無いと思い出す
皆で助けて助けられてが出来るんだ、と
「さっさと終わらせんぞ」
なんかの罠が仕掛けられてるかも知れないのに、ズカズカと無遠慮に入っていく中原さんに遅れを取らぬように走って追い掛ける
「誰も居ませんね」
「何だよ、面白くねェな」
警戒しながら中原さんの後ろを歩いていた時だった
「やぁ、華恋じゃあないか」
前から足音を立てながら歩いて来たのは
「サキ…」
「中原、華恋を連れてきてくれて感謝するよ。中原に用事はないから、早く帰りたまえ」
鋭い目付きで中原さんを睨むサキに、中原さんは?を頭に浮かべサキを見ている
「私はもう戻らないよ」
「何を言っているんだい?私にはルアがルアには私が必要だろう?」
サキには私が必要で?
私にはサキが必要なの?
「おい、ルアって誰だよ」
「華恋の私達と居た時の名だよ」
私は、ルアじゃなくて華恋だ…よね
「私はね、君が居なくて辛いのだよ。助けを求める者を放置するのが君達の役目なのかい?」
「昔の自分を隠してまで優しい天然を演じ探偵社に居たいのかい?」
「私達の所に戻ってきたら自由だ」
「君が今来てくれたら、私達は戦わずに平和に解決だ」
「さぁ、戻ってきたまえ」
サキが手を伸ばし微笑んだ
そして、私との間を詰めてゆく
__サキはいつも僕の隣に居てくれたよ
__サキはいつも助けてくれた
__恩を仇で返すの?
誰もが平和に解決を望んでいる
今ここで「はい」と言えば平和に終わるのかな?
やはり、私はあそこで解散させるべきでは無かった……?
「わ、わたしは__「おい」
中原さんの声が響き渡る
やけに静かになった
浮かべる笑みが黒いものに変わっていくサキとは違い、中原さんは平然とした顔をしてサキを見ている
「昔悪かった人間は良い人間になっちゃ行けねェのか?」
「あぁ、勿論。そうに決まっているだろ?」
サキの返事に少し嘲笑した中原さんの顔が妙に楽しそうだった
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作者名:龍神邪炎&チョコレート x他1人 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2017年12月19日 14時