絶望は優雅を生む 4 ページ8
その言葉に私は固まった。何故バレたのだろう。私の服装はいたって普通の格好だ。わざわざ街で服を仕入れたというのに、何故。
そんな私の心情を察したのか、男性はくすりと笑う。
「なぜ私が君がお嬢様だとわかったかって?それはね……君の振る舞い方だ」
「……振る舞い?」
「ああ。みたところ、君は相当躾をされたのだろう?人間は一度身体に染み付いた慣れは忘れることができない」
「……よくわかったわね」
「どうも女性が気になってしまう性分でね。よく観察してしまうのだよ。君のような可愛い子なら尚更、ね」
男性はその時、キメ顔をこちらに向けた。顔が良いことを自覚しているのか、妙に様になっていた。
「久々の外出をして、君のようなお嬢様と話せて私はなんて幸運なんだろう…!」
「久々の外出?貴方はどこにいたの?」
「…ああ、地下で少し、ね。それはそうと、次はどこにいこうか、お嬢様?」
もしかして私と同じように外に出られなかった人なのかと思い、何処にいたのかと尋ねると、男性は少しだけ雰囲気が暗くなった。そんな彼の様子を見つめていると、何事もなかったかのように明るい表情で私に手を差し出した。話をそらされたようだ。
「帰るわ」
「ええっ!?もう帰るのかい!?」
「そろそろ帰らないとお母様に怒られるもの」
えー!とむくれる男性に私は冷たく返した。いい年した殿方がみっともない。それに、帰るのが遅くなると、外出を禁止されてしまうかもしれない。そんなのは嫌だ。
男性には申し訳ないが、帰らせてもらおう。
「送ってこうか?」
「遠慮しとくわ。それに、私の家にいったら、多分貴方が痛い目見ると思う」
「おお、それは怖い」
男性はふざけながら肩をすくめた。本心ではないはずだ。それじゃあ、といって私は男性に背を向けて歩きだす。男性が小さく何か言っていたが、私には聞こえなかった。
「また会おう、可憐なお嬢様」
58人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
塩わさび - ミヤさん» コメントありがとうございます!おもしろいといっていただけるなんて光栄です…!!!頑張って更新していきたいと思います……! (2018年4月18日 23時) (レス) id: e627b6cc05 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - 続編おめでとうございます!人間創造、とっても面白いです!これからも頑張ってください。応援しています! (2018年4月17日 21時) (レス) id: ce29b99b88 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:塩わさび | 作成日時:2018年4月16日 21時