双つの黒 ページ42
――――二年前。
「【志賀直哉】では呼びづらいし、可愛くない。別の名前で呼んでもいいかな?」
「別にいいわ。私の両親は、男の子が欲しかったからその名前をつけただけだし。貴方の好きに呼んで」
「……そうか。ふふん、安心し給え。こう見えても私は名付けの達人と言われていたのだよ。君にぴったりの名前を考えよう」
しばらく太宰さんは考える素振りを見せたが、思い付いたのかあっと声を漏らした。
「A。今日から君はAだ」
「……いい名前ね」
「そうだろうそうだろう!!」
はっはっはっとわざとらしく声を高らかにあげて笑う太宰さん。そんな太宰さんをただ見つめていると、太宰さんは「お嬢様はノリが悪いなぁ」とやれやれというように肩をすくめる。もうお嬢様じゃないのに、とんだブラックジョークだ。
「そうだ、ついでに君の異能力の名前もつけてあげよう」
「名前?」
「そうそう。例えば私の異能力は『人間失格』という」
『人間失格』。変な名前だな。でも悪くないと思う。自分で考えたのか、はたまた他人が考えたのかわからないが、太宰さんにぴったりな気がする。
太宰さんは顎に手をあて、私をじっと見つめて何かを考えるそぶりをする。それから思い付いたように、あっ、と声をあげた。
「君の異能力は『創造』。ならば私の『人間失格』と君の『創造』を合わせて、『人間創造』というのはどうだろう?」
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塩わさび - ミヤさん» コメントありがとうございます!おもしろいといっていただけるなんて光栄です…!!!頑張って更新していきたいと思います……! (2018年4月18日 23時) (レス) id: e627b6cc05 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - 続編おめでとうございます!人間創造、とっても面白いです!これからも頑張ってください。応援しています! (2018年4月17日 21時) (レス) id: ce29b99b88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:塩わさび | 作成日時:2018年4月16日 21時