検索窓
今日:4 hit、昨日:5 hit、合計:42,752 hit

頭は間違うことはあっても 8 ページ41

敦くんは空の上である発想を思い付いたという。この戦争には『協力者』が必要不可欠だという。それはこの街を裏で統括している組織。そんなのは一つしかない。

「真逆……」

「その組織の名は」

「―――ポートマフィアです」

その時の太宰さんの表情から察するに、敦くんの言いたいことがわかっていたようだ。太宰さんはそれからなるほどね、と呟くとどこかへ電話をし始めた。その姿をぼんやりみていると、Aちゃん、と敦くんに名前を呼ばれた。

「……あの時はごめん!!」

「……ん?」

「ずっと謝りたいと思ってたんだ。いくら敵の異能とはいえ、女の子を傷つけるなんて……!!本当にごめん……!!あと、その……君の手も払っちゃったし……」

「ええと……」

「な、殴るなりなんなりしてくれていいから……!!責任は取るよ……!!」

だからどんとこいと言わんばかりの顔で、自分の胸を叩く敦くんに困惑する。なんだか話が変な方向にいっているような、と胸の中で小さく思う。
敦くん、と彼の名前を呼ぶと、彼は目をつぶった。なにもしないのに。そんな彼がおかしくて、くすりと笑う。

「もう大丈夫だよ」

「で、でも……!」

「これくらいのことじゃあ、探偵社の社員は勤まらないよ」

ね、と念を押すと敦くんは驚いたように目を見開いた。確かにあの時はショックだったが、あの状況なら仕方がない。私が同じ立場だったら、きっと気が動転して敦くんのようになるだろう。

「街を救ってくれて、ありがとう。私は信じてたよ。敦くんならこの街を救ってくれるって」

ぎゅっと宙ぶらりんだった彼の手を握ると、途端に敦くんの瞳からはぽろりと涙が溢れた。その光景に驚いて敦くんの顔を覗きこむ。もしかして手を握られるのが嫌だったのだろうか。

「ど、どうしたの!?あっ!ごめんねっ、嫌だったよね……!?」

「ち、違うんだ……!!その、僕、今までそんなこと言われたことなかったから嬉しくて……!!」

慌てて手を離そうとすると、今度は逆に手を強く握られた。敦くんは顔を赤くしながらも、真っ直ぐと私をみていた。それから「だ、だから……もう少し、このままで……」とだんだん尻窄みになりながらそう言うものだから、なんだかこちらまで恥ずかしくなってしまう。


しばらくお互いに顔をそらし、無言のまま手を繋いでいると、電話を終えた太宰さんにしつこく絡まれたのだった。

双つの黒→←頭は間違うことはあっても 7



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (34 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
58人がお気に入り
設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト , 中島敦   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

塩わさび - ミヤさん» コメントありがとうございます!おもしろいといっていただけるなんて光栄です…!!!頑張って更新していきたいと思います……! (2018年4月18日 23時) (レス) id: e627b6cc05 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - 続編おめでとうございます!人間創造、とっても面白いです!これからも頑張ってください。応援しています! (2018年4月17日 21時) (レス) id: ce29b99b88 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:塩わさび | 作成日時:2018年4月16日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。