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頭は間違うことはあっても 2 ページ35

「……わかった。貴方たちについていく。でも一つだけ約束して。敦くんにそれ以上危害を与えないで」

「…いいよ。約束しよう」

青年は頷くと、誰かに電話をし始める。そしてしばらくすると、私を海の方へと背中を押した。すると突如として、巨大な白い鯨がでてきた。

「く、鯨…!?」

「白鯨っていうんだ。ほら早く乗って」

「え?乗るってどうやって………!?」

青年は私の肩に手をおくと、そのまま私のことを鯨のほうへ押した。転ぶ、と思って反射的に目を瞑るがいくらまてども衝撃はこない。目を開けるとどこかの豪華な客室のような場所へと来ていた。きょろきょろと辺りを見渡していると、誰かに声をかけられる。

「やぁ、公女(プリンセス)。どうだ、白鯨の乗り心地は」

「……フィッツジェラルドさん」

ソファの上でふんぞり返りながら私を見るフィッツジェラルドさん。私を拘束していた青年はもうおらず、幸い私の手足は自由だ。今ならここで彼を倒すことも可能というわけだ。

「少々手荒な真似をしてしまって悪いな。こうでもしないと君と話をできそうにないのでな」

「…どうして私を?」

「君が『元令嬢』だからだ」

全く悪びれる様子もなく、フィッツジェラルドさんは謝罪し、おまけに私の情報を知っているときた。大方、マフィアからの情報だろう。しかし、芥川のいうことを信じれば、私の情報は『元令嬢ということ』だけ。どこの令嬢だったかはわからないはずだ。

「だから、それが私となんの関係が―――…」

「公女。君の名前はなんという?」

「……A。Aですけど」

「ファミリーネームは?」

「……」

「ファミリーネームは?」

「答えられません」

まるで尋問のようだ。答えない私をみて、フィッツジェラルドさんはしつこく質問してきた。彼を睨み付けると、おどけたように肩をすくめる。

「俺はある人物を探していた。その人物の名は【志賀直哉】」

「………」

「そいつは九年前、まだうら若き俺の婚約者だった」

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト , 中島敦   
作品ジャンル:恋愛
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塩わさび - ミヤさん» コメントありがとうございます!おもしろいといっていただけるなんて光栄です…!!!頑張って更新していきたいと思います……! (2018年4月18日 23時) (レス) id: e627b6cc05 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - 続編おめでとうございます!人間創造、とっても面白いです!これからも頑張ってください。応援しています! (2018年4月17日 21時) (レス) id: ce29b99b88 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:塩わさび | 作成日時:2018年4月16日 21時

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