三社鼎立 6 ページ27
「成る程。唆られる案だね。けどもっと善い案があるよ。アンタの手足を削ぎ落としてから何を企んでるか吐かせるってのはどうだい」
「そりゃ凄え案だ。やってみろよ」
「賢治ッ!!Aッ!!」
「はーい」
「はい!」
賢治くんは足元にあるレールを引き抜いた。それに続いて、私は新たなレールを『創造』する。中原中也はその光景に驚いたが、口角をあげてにやりと楽しそうに笑った。
「矢っ張り伝言人は性に合わねぇ……。仕事はこうじゃねえとなァ」
「気を付けてくださーい!」
親切にも賢治くんは忠告をすると、二本のレールのうち、一本を中原中也にを投げつけ、もう一本を振りかざした。長いレールが壁に激突し、さすがの幹部でも無理だろうと思っていると、そこに中原中也はおらず。どこにいるのかと探すと、彼はレールの上にいた。賢治くんは「おお!」と感嘆の声をあげている。中原中也はそのまま賢治くんの目の前まできたかと思うと、賢治くんを蹴った。
「賢治くん!」
「厄介な異能だな、手前ェ」
中原中也は今度は私に標準を定めた。目の前に中原中也が迫り、異能で防御しようとした―――が、やめた。中原中也の背後に与謝野先生がいたからだ。そのとき、中原中也は与謝野先生の気配を察知したのか、私の目の前から退いた。しかし、彼が着地したのは地面ではなく天井。
「その異能……『重力遣い』の中原中也だね」
「ちっ…太宰の兵六玉が喋ったか」
「色々話してましたよ。マフィアに入りたての頃の話とか……」
「あの野郎ォ……!!」
中原中也は太宰さんを思い出したのか、苦虫を噛み潰したような顔をし、私を睨み付けた。別に私が悪いわけではない。太宰さんが勝手に話始めたのだ。中原中也はごほん、と咳払いをして流れを変えた。
「太宰が其程警戒してんなら、期待に応えねえとなァ」
中原中也の雰囲気が変わる。嫌な予感がして、与謝野先生と共にその場を離れた。直後、ずどんという重い音がして、音の発端をみると中原中也が立っている地面にヒビが入っている。
「さァ、重力と戦いてえのは何方だ?」
ぞくりと背筋が凍った。その殺気に私たちは一歩も動けない。きっといくつもの殺戮を乗り越えてきたのだろう。中原中也は本気だ。本気で私たちを殺そうとしている。
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塩わさび - ミヤさん» コメントありがとうございます!おもしろいといっていただけるなんて光栄です…!!!頑張って更新していきたいと思います……! (2018年4月18日 23時) (レス) id: e627b6cc05 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - 続編おめでとうございます!人間創造、とっても面白いです!これからも頑張ってください。応援しています! (2018年4月17日 21時) (レス) id: ce29b99b88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:塩わさび | 作成日時:2018年4月16日 21時