たえまなく過去へ押し戻されながら 2 ページ16
「おい太宰、さっさとマフィアに囚われた件の報告書を出せ」
「好い事考えた!国木田君じゃんけんしない?」
「自分で書け」
「A。君は私の助手だろう?」
「書きませんからね」
「敦君。今日は君に報告書の書き方を教えようと思う」
「敦くんはこの間私が教えましたけど」
「こ…この流れでですか?」
何がなんでも自分で書きたくないようだ。皮肉をこめてそう言うと、太宰さんは頚を横にふる。
「君にも関わる話だよ。君に懸賞金を掛けた黒幕の話だ」
「判ったんですか!?」
「ああ。マフィアの通信記録に依ると、出資者は組合と呼ばれる北米異能力者集団の団長だ」
「実在するのか?組合は都市伝説の類だぞ。構成員は政財界や軍閥の要職を担う一方で、裏では膨大な資金力と異能力で数多の謀を底巧む秘密結社――まるで三文小説の悪玉だ。第一そんな連中が何故敦を?」
「直接訊くしかないね。逢うのは難しいだろうけど、巧く相手の裏をかけば――」
「た、大変です!」
太宰さんと国木田さんが話し込んでいる中、谷崎くんの焦った声が遮った。直後、空を割るような大きなプロペラ音。外を見ると、探偵社の前の一般道に大きな
「回転飛行機……!?」
「先手を取られたね」
中から男性二人と女の子一人がでてくる。先頭に立つ男性はこちらを見上げ、にやりと笑っていた。
お客様だがどういう組織か不明だということで、私が彼らを社長室へと案内する。高そうな服を着た組合の長は、私にご苦労、と言うと、社長と向き合った。その様子を敦くんの隣でうかがう。
「会えてとても嬉しいよ。プレジデント・フクナ……フクダ……」
「福沢」
「それだ」
ぱちんと指を鳴らした音が響いた。おまけにウインクつき。社長の前であるのにも関わらず、長い足を組んで優雅にくつろいでいる。その上、名前を間違えたことに謝罪はなし。
「ところで、ヘリを道路に停めさせたがまずかったかね?何しろヘリポートの無い会社を訪ねるのが初めてでね」
「外国の方が遠路遙々御足労でしたな。して用件は」
社長がそう尋ねたタイミングで、ナオミちゃんが組合の長の前にお茶を置いた。組合の長は興味深そうに湯飲みを眺める。
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塩わさび - ミヤさん» コメントありがとうございます!おもしろいといっていただけるなんて光栄です…!!!頑張って更新していきたいと思います……! (2018年4月18日 23時) (レス) id: e627b6cc05 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - 続編おめでとうございます!人間創造、とっても面白いです!これからも頑張ってください。応援しています! (2018年4月17日 21時) (レス) id: ce29b99b88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:塩わさび | 作成日時:2018年4月16日 21時