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絶望は優雅を生む 7 ページ11

その言葉を皮切りに、胸に秘めていた思いが溢れだした。鼓動が鳴るのがわかる。

【私】は生まれ変わりたい。ここからでて、誰にも縛られず、道具としてではなく、自由に生きていきたい。

「うふふ。もしかして君は、自i殺願望があるのかな?私にとっては、この中で君のようなご令嬢と死ねたら本望だよ」

「……莫迦言わないで」

笑う男性に私は悪態をついてやる。
私の気持ちを聞きたいとでもいうように、彼は両手を広げて大袈裟に笑っていた。この人は不思議な人だ。自分の気持ちをすらすらと言えてしまうような、そんな雰囲気がある。

「――私はまだ【私】として生きたい。貴方が心中を申し込んでいるのは<お嬢様の私>であって<本当の私>ではないわ」


【金を生む道具として生きてきた醜い女】と心中してもいいのか。そういう意味をこめて男性に尋ねた。
すると男性は少し驚いてからまた笑って私に手を差しのべたのだ。

「私が共に死にたいのは、<お嬢様の君>だ。実は私も過去の自分を捨てたいのだ。どうかこんな私と<お嬢様の君>で心中してくれないか」

――そうすれば、君は<君>になれるはずだ。

男性はそう付け足した。ここで私は、<お嬢様>として死ねば、新しい自分として生まれることができると考えていた。だから、

「……喜んで」

今度は男性の手をとった。直後、私たちを包んでいた炎が目映い光と強風と共に消えてなくなる。驚く私を気にすることもなく、男性は私の前で膝まづくと、ただ一言口にした。

「初めまして、お嬢さん」

1月23日。その日、前の名前を捨て、【私】は誕生した。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト , 中島敦   
作品ジャンル:恋愛
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塩わさび - ミヤさん» コメントありがとうございます!おもしろいといっていただけるなんて光栄です…!!!頑張って更新していきたいと思います……! (2018年4月18日 23時) (レス) id: e627b6cc05 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - 続編おめでとうございます!人間創造、とっても面白いです!これからも頑張ってください。応援しています! (2018年4月17日 21時) (レス) id: ce29b99b88 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:塩わさび | 作成日時:2018年4月16日 21時

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