牡丹が落ちる時【mfsk】

牡丹42 ページ42

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私の上司は若様であるまふまふ様だ
基本的には若様からの命でしか動かない


それは私の1番の使命が若様の命の安全だからだ



他の人の命でどっかへ遠征行ってて護衛できません。
なんて、そんなの許されないからだ





でも若様を除いて唯一私に命令を下せる者がいる






永遠と続く廊下を歩き、屋敷の奥の奥
1番奥の上手(かみて)まで来ると、重々しい扉が私を出迎えていた





｢召喚に応じて来ました。Aです｣





その重厚感溢れる扉に向かって言うと、観音開きに扉が勝手に開いた

もちろん自動ドアとかではなく、中の下働きの人が開けたのだが




私は開き切るのを待ってから足を進める


すぐ前には分かりやすく豪勢な椅子に座った総長───お父様が座っていた





｢A、大きくなったな｣



｢はい｣





このマフィアのトップにして、私の実の父親
唯一の肉親であり、私にとって一番怖い人






｢まふまふとは仲良くやっているか
あいつは皮肉れ者だからな。きちんと支えてやれ｣



｢肝に銘じてます｣




あぁ、空気がまずい
何もしていないのにタラタラと汗をかくし、足がすくんでガタガタと揺れてしまう








｢…私の話をするのが嫌そうだな。本題にでもうつってやろうか？｣



｢……申し訳ありません｣






普段この人は幹部の人としか話をしない

私は若様っていうここのナンバー2の人の側近であるけど、でもそれは幹部ではない




だからこの人と会うことなんかそうそうないのだ

そしてないままでいいのだ。別に。







きっと私はこの人が死のうがさかたのように、悲しんだり復讐に怒りを燃やしたりすることは出来ないだろう

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