牡丹が落ちる時【mfsk】

牡丹29 ページ29

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カクン…カクンと一定のリズムを置きながらさかたの頭が前後した


ようやく薬が効いてきたようだ





手間のかかる……。





｢こっちに車を1台寄こして｣





電話でそう伝えると、相手からは了解の意が返ってきた
そう時間もかからないでここまでこれるだろう






目の前で完全に意識を手放したさかたを確認して、私は再び携帯を開いた


本当はこんな無理やりの予定ではなかったのだ

もちろん無理やり連れていくことも考慮してはいたけども




でもさかた本人が来てくれると言ってくれたから、別に1日付き合うぐらいどうでも良いのだ


問題は若様が催促してきたことにあるだけで……






若様は短気過ぎて困る……待つという言葉を知らないのか、彼は






相変わらず電話には出ない
あちらからはかかってくるけども、こちらのは取らないという不効率な若様にため息をついて、私は文字を打った





｢Aさん｣



｢あぁ……この男だから。車まで運んで｣



｢分かりました｣






真っ黒なスーツを着た男が1人

私に躊躇いもなく話してくる


名前は知らないけど、構成員のひとりだ





テキパキとさかたの肩を持ち、お店に出ていくのを眺めていた


私は会計の札を持って、レジに向かうのだった





｢ほんとバカ……｣





探偵業なんかしてるくせに…マフィアからのご飯を食べるなんて馬鹿すぎる




……そんなことを胸にツラツラと並べていた


だってそうもしないと、私は私を卑屈してしまう





マフィアである私からの食べ物をなんの疑いもせずに食べるような人を、私は考える余地もなく薬を盛ったのだから……




酷い女だ

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