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安堵。 ページ4

中也side


浮いていた体が唐突に地面につく。

ついたのは、向こうに行った時と同じ首領室だった。


「おい!大丈夫か?!」

Aを見ると、歯を食いしばって、目に涙を浮かべ、俺の服の裾を握りしめていた。


「だ…いじょ……ぶ」


「A!!怪我してるじゃない!リンタロウ呼んでくるわ!」

首領室の別室からエリス嬢が出てきた。

「エリス嬢……!」

エリス嬢が走って部屋を出て行く。


「おい、A…しっかりしろ…!」

Aの顔色は悪くなる一方だった。

いつの間にか、傷口からはまた血が滴り落ちていた。


大丈夫、大丈夫、と自分に言い聞かせた。

こんなにも時間を長く感じることはもう無いだろう。


「どうしたんだい!?」

エリス嬢と森さんが部屋に勢いよく入ってくる。


「これはまずいね。ここに寝かせなさい」

Aをソファに寝かせる。


もう既に、気を失っていた。

「おい…お願いだ……A……!!」


「大丈夫だよ。君は少し部屋を出ていなさい。治療が終わったらまた呼びに行く」


「安心しなさい、中也。リンタロウは治療だけが取り柄だから」

「エリスちゃん酷い…」


二人のいつも通りのやりとりに焦燥を感じながらも、どこか安心した。





Aside


目がさめると、私は………



…ここどこだ?


見覚えのあるような、無いような……


「目ェ覚めたか!」


上から覗き込んできたのは中也。


なんかデジャヴだ…この光景…


何があったっけ、と必死に記憶をたぐり寄せる。


「森さんに治療してもらったんだ」

心の底から安心したように中也が笑う。


「森さん…お礼言わなきゃね…」

まだ状況をちゃんと理解出来ていない頭をフル回転させて言う。


「……俺のことわかるよな…?」

中也が心配そうに覗き込んでくる。


「え…?中也……だよね?」

当然のことを心配されると、こっちまで自信が無くなってしまう。


「良かったー……」

中也が力が抜けたようにそう言い、私に覆いかぶさる。


いい匂いする…とは言えず。


「もう傷は痛まねェか?」

「傷…?」

傷なんてあったっけ、と思考を巡らす。


「あ、そんなのあったね……思い出した…」

だんだんパズルのピースが組み合わさって行くように記憶が繋がる。


あの後、両親はどうしたんだろう。

まぁ、それを想像しても答えが出るわけでは無い。


「傷、もう痛まないよ。ありがとう」



微笑む中也の背後からは既に朝日が昇ってきていた。

不明確。→←別れ。



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設定タグ:中原中也 , 文豪ストレイドッグス , 文スト   
作品ジャンル:アニメ
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nao - 私情はさみます……すいません、覚えてるかな、うちのことmaoです、これ見てくれてたら嬉しいです、そして返信くれると嬉しいな……… (2020年9月29日 23時) (レス) id: cb11543b97 (このIDを非表示/違反報告)
きおく(プロフ) - やっぱりハッピーエンドですよね…!!分かりました!!夢主ちゃんも中也も幸せにします!!コメントありがとうございました!!! (2019年9月26日 17時) (レス) id: 8fb2214b40 (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - ハッピーエンドにしてあげて下さい!!  (2019年9月26日 17時) (レス) id: 2eff2af79a (このIDを非表示/違反報告)
きおく(プロフ) - なるほど…!!ありがとうございますー!!! (2019年9月24日 18時) (レス) id: 8fb2214b40 (このIDを非表示/違反報告)
れいな(プロフ) - 私はハッピーエンドがやっぱりいいです! (2019年9月24日 12時) (レス) id: 11efb22fa1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きおく | 作成日時:2019年7月22日 18時

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