そばに。 ページ12
今朝、夢を見た。
私が、記憶を失った後の話だった。
私は別人のようになっていた。
命の大切さなんて全く考えず、ポートマフィアで沢山人を殺してた。
目に光なんて灯ってなかった。
まるで―――――
――――――中也に出会う前の私みたいだった。
記憶を失った私は中也のことなんて全く好きじゃなかった。
気にも掛けてなかった。
ホントに、今の『私』とは全く別の人間なんだと思った。
これほど好きな中也のことさえも、忘れてしまう。
どうしようもなく、胸が締め付けられた。
呼吸すら出来ないほどに苦しくなった。
ようやく、中也という心から愛せる、一生大切にしたいと思える人と出会えたのに、この気持ちすらも全て忘れてしまう。
苦しくて苦しくて、全てやめてしまいたくなる。
中也に…………抱き締めて欲しい。
大丈夫だって言って欲しい。
また、好きだって言って欲しい。
今、そばに中也がいればどれほど気持ちが楽になるだろう。
こんなときに限って、中也は仕事。
今日は大分遅くなるって言っていた。
中也が帰ってくるまでずっと一人でこの込み上げてくる苦しみに耐えないといけない。
「ねぇ……中也………寂しいよ………」
声に出したら、余計に悲しくなって涙が溢れてきた。
自分の部屋のベッドに突っ伏して、ずっと泣いていた。
中也side
「ただいまー」
部屋に入っても、珍しく夕食の匂いがしなかった。
帰ってくるのが遅くて、夕食を作ったときから時間が経ちすぎたのだろうか。
それに、どんな時間になっても出迎えてくるAの姿がない。
脅かそうとしてるのか?と思いながらリビングの方に入っていく。
リビングにもAはいなかった。
万が一のこともある。
冷や汗が背中を伝った。
「………A…………？」
走って家中を探したくなるが、そうしてしまったらAがいなくなったことを自分が認めてしまったみたいでぐっと堪えた。
Aはいる。そう自分に言い聞かせて家を見て回る。
Aの部屋の扉が少し開いていた。
「A………？」
そっと扉を押して部屋を見た。
「!!」
心臓が痛くなるほど一気に心拍数が上がるのが分かった。
「良かった……………」
そこにはベッドに突っ伏して眠っているAがいた。
安心して、体が脱力する。
Aの髪をそっと上げて耳に掛けた。
前にも何度かしたように、頬を撫でて気がついた。
――――――――泣いてる…………?
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 134人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
nao - 私情はさみます……すいません、覚えてるかな、うちのことmaoです、これ見てくれてたら嬉しいです、そして返信くれると嬉しいな……… (2020年9月29日 23時) (
レス) id: cb11543b97 (このIDを非表示/違反報告)
きおく(プロフ) - やっぱりハッピーエンドですよね…!!分かりました!!夢主ちゃんも中也も幸せにします!!コメントありがとうございました!!! (2019年9月26日 17時) (レス) id: 8fb2214b40 (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - ハッピーエンドにしてあげて下さい！！ (2019年9月26日 17時) (レス) id: 2eff2af79a (このIDを非表示/違反報告)
きおく(プロフ) - なるほど…！！ありがとうございますー！！！ (2019年9月24日 18時) (レス) id: 8fb2214b40 (このIDを非表示/違反報告)
れいな(プロフ) - 私はハッピーエンドがやっぱりいいです！ (2019年9月24日 12時) (レス) id: 11efb22fa1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きおく | 作成日時：2019年7月22日 18時
